
拝啓文芸部✉未開封の段ボール
彼女と別れて一年。
引っ越しのために荷物を整理していると、
クローゼットの奥から小さな段ボールが出てきた。
未開封だった。
何か注文しただろうか。
覚えがない。
振ってみても、音はしない。
いつからここにあったのかも分からなかった。
リビングのテーブルに置き、休憩がてらコーヒーを淹れる。
何となく指先で箱を突く。
ころん、と裏返った。
底に、小さな文字があった。
いつか見る君へ。
その時、隣にいるかは分からない。
でも、今の気持ちを詰めました。
彼女の字だった。
しばらく箱を見つめた。
開けようと思えば、すぐ開けられる。
それでも僕は、手を伸ばせなかった。
あれから新しい部屋に移った。
段ボールも一緒に。
今も未開封のまま、棚の一角を占拠している。