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Photo byekakinonakagawa

図書館に漫画が入るのはいつか

    日本の出版界を支えているのは漫画の売り上げだし、最近は映画興収もアニメに支えられている。東映は「ONE PIECE (FILM RED)」のおかげで過去最高の年間興収だという。

    日本文化といえば漫画・アニメであり、世界中にファンがいる。

    にもかかわらず、漫画・アニメは差別されている。公教育で教えられず、学問研究も奨励されず、国家的支援が乏しい。読書感想文コンクールなど、いわゆる活字文化は新聞社のようなレガシーメディアも支援するが、漫画には現状、そうした社会的支援も乏しい。

    この扱いは、文学などの廃れつつある文化ジャンルと対照的だ。売れない小説家を芸術院会員にして死ぬまで年金を払うくらいなら、漫画文化の礎を築いたかつての漫画家やアニメーターに、その名誉と金を与えるべきだろう。

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    文学も、かつては新興の差別されたジャンルだった。明治の文学者は「文学は男子一生の仕事たりうるか」を自問した。

    小説の「小」とは「取るに足りないもの」の意味であり、外国語の「ロマンス」も「俗なもの」の意味がある。漫画の「漫」も同じような意味だが、メジャーになれば原意は忘れられていく。

    今では「ノーベル文学賞」があることを誰も怪しまないが、いずれは「ノーベル漫画賞」がないのはなぜか、人々は疑問に思うだろう。あるいは、小説家に文学賞を与えるより、尾田栄一郎にそれを与えるべきだと思うかもしれない。

    文学賞の受賞者リストを見ると、今世紀前半の一時期に名声を得て、今では誰も読まない作家の名が並ぶ。それなら、「ウォルト・ディズニー」が5年分くらい受賞していておかしくない、と誰もが思うのではないか。

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    図書館に行くたびに、なぜ漫画が置いていないのか、不思議に思う。

    三文小説や、いかがわしい評論の類はいくらでもあるのに、漫画は1冊もない。

    いまどき年寄りでも小説なんか読まない。読まれるのは文庫書き下ろしの時代小説くらいである。

    いま60歳代の私が10歳くらいのころ、少年ジャンプが創刊した。私以降の世代は、最初から少年ジャンプのある世界に生きており、大人になっても漫画を読み続け、アニメを見続けている。

    少年ジャンプ世代が定年退職して、ヒマな老後、地域の図書館で何を読めばいいのか。彼らが払い続けた地方税に見合うだけのサービスが、そこにはあるのか。

    そろそろ図書館に漫画を入れ始めなければならないはずだが、まだそんな声がどこからも上がっていないのはおかしい。

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    業界はーーかつて文学業界がそうだったようにーー図書館でタダで読まれると困るから、税金から余計にカネ寄越せ、と言うかもしれない。

    それでもいいのではないか。誰も読まない新聞や本を税金で購入するくらいなら、多少割り増しに払っても、図書館に漫画を揃えるのが、公共サービスとして適切だろう。

    そもそも、一般の本にある図書館のような保存システムが漫画にないのが文化行政上の問題で、いまのうちに手を打たなければならない。

    図書館に漫画を入れることは、文化財の保存であるとともに、将来の漫画文化の礎になる。いま創作的才能があり、カネを稼げる若者が集まるのがこのジャンルだから、国をあげて育成されねばならない。同じような意味で、アニメやゲームも公共的に扱われねばならない。

    そうした声が政治家から上がるべきだ。漫画好きの麻生太郎氏あたりが死ぬまでに提言してくれれば、これまでの悪名を払拭して死後長らく名政治家と讃えられるだろう(まあ政治利権にもなるだろうが)。


     
     
    会社を定年退職し、神奈川県は柿生の里に隠棲する。新聞社、出版社に勤め、記者や編集者をやっていた。独身、孤独を愛する。老人であることを自覚し、記憶力もあやしくなりつつあるので、ここに書き残したいことを書き残しておく。世間から引退したので、社交は望みません。

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