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HAMLET 2 #025 優しい世界

    神が地と天とを造られた時、地にはまだ野の木もなく、野の草も生えていなかった。
    神が地に雨を降らせず、また土を耕す人もなかったのだ。
    代わりに、地から泉がわきあがって土の全面を潤していた。
    神は土の塵で人を造り、命をその鼻に吹き入れ、やがて人は、生きた者となった。
    神は東の方に一つの園を設け、その造った人を住まわせた。
    神は、見て美しく、食べるに良い木を土から生えさせ、園の中央に命の木と、善悪を知る木とを生えさせられた。
    神は人に命じて言われた。
    「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べるがいい。
    しかし、善悪を知る木からは取って食べてはならない。
    それを取って食べると、きっと死ぬであろう」

    創世記 第2章より


    ■黒画面のまま、メイビル博士の声が優しく響く

    「メアリー……起きなさい、メアリー。
    ……動物たちが、食事を用意してくれたよ」

    ※黒画面が中央から上下に開いて、目を開ける演出

    ■楽園のように美しい、大自然が広がる。快晴、心地よい朝。

    「う~んっ!……あっ!?」

    ●伸びをして、上半身を起こすメアリー。小鳥のさえずりが聞こえる。
    ●地面に目をやると、木の実やキノコ、果物などが置かれている。
    ●傍らのリスが、まるで、それを食べるように促し、メアリーを見上げる。
    ●果物などを頬張るメアリー。そのおいしさに目が輝く。
    ●食事をするメアリーを、動物たちが優しく見守る。

    -場面転換。

    ■西側へのプロパガンダ映像。中露の首脳が、A-MAX FACTORIESを糾弾する。

    ●A-MAX FACTORIESの暴虐の証拠を掴んだと主張する中露の首脳。

    「世界の皆さん、我々は、今回の未曽有の災厄が、A-MAX FACTORIESの画策であることを突き止めました。
    いわゆるHAMLET事変とは、巧妙に計画され、秘密裏に実行された、人類絶滅計画とでも呼ぶべきものなのです」
    「米国の、いわゆる『楽園』に住んでいる皆さん。あなた方の繁栄は、常に周囲からの収奪によって成り立っているものだと、ご理解ください。
    我々は、それについても多くの証拠を持っています」
    「賢明なる世界市民の皆さん、あなた方の地域で起きている虐殺行為は、『神』を自認するA-MAX FACTORIESの中枢が仕掛けた、『異教徒殲滅作戦』に他なりません」
    「我々は、非米側というレッテルを貼られ、長い間冷遇されてきました。
    しかしながら、『神』であるA-MAX FACTORIESの側から離れていたために、今回の人類絶滅計画に於いても、その被害は比較的に少なく済んでいます」
    「我々の大地は、人類が再生を目指すのに最適な場所であります」
    「世界市民の皆さん、我々は国境を開けています。
    どんな神を信じていても、拒みません。
    どうぞ、我々の側に就いてください」
    「人類は、滅ぼされるべきでは、ありません」
    「我々は国境を開けています。
    戦乱を逃れ、我々と共に歩まん者の多いことを、切に願います」
    「我々は国境を開けています。
    我々は、あなた方を拒みません。あなた方の味方です。
    ぜひ、我々と共に歩みましょう」

    -映像終了。
    -場面転換。

    ■コンテナ近く。メアリーを探すジム達。

    ●手分けしてメアリーを探すジムとフランシス

    「メアリー!!……メアリー!!」
    「メアリー、聞こえたら、返事をしてくれ~!」

    ■グリフォンの起動を告げる警告

    「警告!登録パイロット以外の起動では、兵装の利用が制限されます。
    兵装の利用には、解除コードを入力してください」

    ●突然のグリフォンの起動に、ジムとフランシスが驚く。

    「えっ??……誰がグリフォンを!?」
    「まさか、メデューサ??」

    ■グリフォンのコクピットに収まるメデューサ

    ●メデューサが、スピーカーでジムたちに呼びかける

    「すまない。こいつを使わせてもらう。
    自分が必ず、メアリーを連れ戻す!」

    ●マイクを切って、心配そうに呟くメデューサ

    「もうじき、メアリーが出て行ってから72時間になる。
    あんな子供に、サバイバルができるハズがない……」

    ●急発進するグリフォン

    「あっ!……」

    ●グリフォンを見送ることしかできないジムとフランシス

    -場面転換。

    ■見慣れない巨木を見上げるメアリー

    ●巨木の先端に、大きな実が生っている。熟していて、美味しそうだ。
    ●サルが、その実を抱えて、一心不乱に食べている。

    「あ……美味しそう……」

    (ぐるるるる)

    ●メアリーの腹の虫が鳴る。無意識に、よだれが口元に。
    ●サルが、メアリーに見せつけるように、実を食べている。

    「ねぇ、それ頂戴!……あたし、まだまだお腹が空いているの!」

    (キー!キー!キー!)

    ●サルが、メアリーに対して実の種を吐きかける。

    「わっ……やっ、やだなぁ。それを分けてくれなくてもいいから、そっちの実を、もいで投げてよ~」

    (キー!キー!キー!)

    ●サルが、メアリーに対して別の実をもいで、投げつける。
    ●その実が、メアリーの頭に当たる。

    (ごつん!)

    「痛っ!!」

    (キー!キー!キー!)

    ●サル、枝を伝って、どこかへ消えていく。
    ●割れた実が、メアリーの足元に転がる。果肉が、とっても美味しそう。
    ●果肉にかぶりつくメアリー。あまりの美味しさに、恍惚の表情。
    ●一気に果肉を貪るメアリー。

    「……」

    ●実がもっと欲しくて、巨木を見上げるメアリー。サルはいない。

    「……うん!」

    ●意を決したメアリー。実を求めて、巨木を登り始める。
    ●意外と上手に、巨木を登っていくメアリー。
    ●歩行アシストスーツが、木との摩擦で裂けていく。
    ●メアリーは、それには気づかない。
    ●やがて、裂け目から出ていた足に傷ができ、血が流れだす。
    ●それでも実を求めて巨木を登っていくメアリー。ついに実に手が届く。

    「わあっ♪」

    ●念願の実を、複数抱えるメアリー。
    ●腕で抱えた実が、同時に木から外れる。

    「えっ??」

    ●不意を突かれたメアリー。
    ●足の力だけで自分を支えられず、実と共に木から落ちる

    「きゃあああっ!!……」

    ●周囲の、まだ熟していない実も、全てメアリーと共に地面に落ちていく。

    (ドサッ!!……ドサドサドサドサ……)

    --時間経過のフェードアウト・フェードイン等。

    ■黒画面のまま、ジムの声が響く

    「メアリー!……メアリー!!……大丈夫か?メアリー!?」

    「う……ん……」

    ※黒画面が中央から上下に開いて、目を開ける演出。
    ●辺りは夜になっている。

    ■メアリーの目の前に、ジムの顔がある

    「あっ、ジム……あっ!?」

    ●ジムの顔がぼやけ、ハッキリとした時には、メデューサの顔に。

    「メアリー・レイクウッド、大丈夫か!?」
    「あ……なんだ、メデューサさんか……」
    「意識は、しっかりしているようだな」
    「ジムかと思ったら、メデューサさんだったよ……」
    「すまないな、アイツでなくて」
    「……」

    ●メアリーのケガの様子を気にかけるメデューサ。

    「出血している。それに打撲か……何があった??」
    「木から落ちちゃった……えへへ」
    「皆のところに連れて帰る。ジム・ビリントンにも、すぐに会える」
    「ありがとう……」
    「痛いだろう??もう少し、我慢してくれ。掴まれるか??」
    「うん……」

    ●メアリーを背負うメデューサ。グリフォンの元へ向かう。

    --時間経過のフェードアウト・フェードイン等。

    ■グリフォンのコクピットに収まるメデューサ

    「警告!登録パイロット以外の起動では、兵装の利用が制限されます。
    兵装の利用には、解除コードを入力してください」

    ●グリフォンの起動音

    「ベースへ帰投します」

    ●エンジン推進音。

    ■グリフォンがベースに戻っていく。

    -フェードアウト

    #025  優しい世界、了。

    画像
    「ヤシの実のような実を先端につけた、不思議な大木を描いて」とAIに指示した。

    ※本作品について(再掲)
    本作は、1993年にPC-98版ゲームソフトとして販売された『HAMLET』および移植版の『SPACE GRIFFON VF-9』の続編となるストーリーで、西暦2149年を舞台としたSF作品です。登場人物や組織などは、実在するものとは、一切関係がありません。前作は、wikiやプレイ動画等でご確認ください。
    なお、筆者は当該タイトルの原作と脚本を担当した張本人ではありますが、現在は、いち個人で執筆しており、HAMLET2の権利は筆者に帰属します。
    しかしながら筆者は、この作品の二次創作・三次創作を制限するものではありません。どなたか奇特な方がキャラ絵を描いてくれると嬉しいです。


     
     
    20代をゲームライターとして過ごし、30代を端末コレクターとして生き、40代で中年の危機を迎え、50代でコレクションを処分しました。タダの廃人ですw コンシューマー向けもギャルゲもエロゲも書きました。 コレクターとして、およそ250台のPC、250台のスマホを持ってました。

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