
400字で分かる落語「工夫の医者」
「く」の23:工夫の医者(くふうのいしゃ)
【粗筋】 藪で名高い先生、迷い込んだ患者の金さんを相手に、薬を使わずに病気を治す方法を考えていると言い出す。腹の中に真田虫がわいたので困っていると言うので、蛙をのめと言う。蛙が虫を食ってしまうのだ。蛙はどうするのかと尋ねると、ナメクジを飲むことを勧める。ナメクジには雀、雀に鷹、鷹に鷲、鷲に狩人、狩人に鬼、鬼に節分の豆……と続いて、「もし豆でだめなら熱燗で一杯やる。酒はもちろん鬼殺しだ」
「先生、あなた頭がおかしくなったんじゃありませんか」
「いや、正気(鍾馗)だ」
【成立】 天保8(1837)年『落噺仕立ておろし』の「声の出る薬」。声が出る薬になめくじがいいというが、腹に当たるといけないからあとで蛙を呑む。蛙には雉子、雉子には狐、狐に狩人、狩人に庄屋、庄屋に鬼、鬼には鬼殺し、というもの。虫拳などを折り込んだもの。
鬼殺しは安くて強い酒。鍾馗は鬼に強い、それだけのことで、鬼に対して「大王(大黄)」で落とすという、「地獄八景」と同じ落ちも見える。上方では「蘭方医者」で、趣向が異なる。