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Photo bymomonotane

オリンピックが見たい鬼~ショートストーリー【シロクマ文芸部&風まかせ文芸部】

    (920字)

    昨日から、部屋に鬼がいる。

    オリンピックのテレビ中継を見て夜更かししていたら、突然鬼が「オリンピック見せてもらっていいですか?うちテレビないので」と言って入ってきた。まさに神出鬼没。

    彼は節分の日、人間界に来て「鬼は外!」と煎り大豆や落花生を投げつけられながら、オリンピックが開催されると聞き、興味を持ったらしい。
    怖くなさそうな鬼だったので了承した。

    「ありがとうございます」
    鬼は一礼すると、リラックスして虎柄のパンツであぐらをかき、テレビの前に陣取った。夜が長くなりそうだ。ぼくは冷蔵庫を開けた。本当は『鬼ころし』がいいのだろうけど、うちにはない。
    「ビールでいい?」
    「いただきます」
    缶ビールとポテチを出してやって、ついでにぼくも食べる。

    鬼はオリンピックを熱心に見た。それこそ「鬼のように」。
    興奮して、トゲトゲ付きの棍棒こんぼうを振り回して応援する。
    「鬼に金棒」いや棍棒。どっちにしても危ないったらありゃしない。
    応援していた選手が勝ったら大喜び。鬼の首でも取ったようだ。

    中継の合間に、これまでの各競技のダイジェストや名場面が放送される。鬼はスノーボードやスキージャンプに目を丸くし、フィギュアスケートのりくりゅうペアを見て泣いていた。
    リアル「鬼の目にも涙」だ。
    そのうちぼくは眠くなったが、鬼はまだオリンピックを見たいという。イヤホン装着で見てもらうことにした。
    布団をかぶって横になると「よし!」「いいぞ!」と応援の声が時々聞こえた。どこの国を応援してるんだろ、と思っているうちに眠った。

    今朝、閉会式が終わると鬼は棍棒を片付け始めた。
    「ありがとうございました……実は鬼のスポーツ大会があって、今年運営担当なんです。オリンピックは参考になりました」
    「へえ、何の競技をやるの」
    「棍棒投げとか五十メートル走とか鬼太鼓応援合戦とかダンスとか。節分の行事で、鬼が踊る地域もあるのでダンスは盛んです。パレードもあります」
    百鬼夜行か。
    「じゃ、あまり長居すると鬼気迫る勢いで鬼嫁に叱られるので、そろそろ失礼します。大会のチケットができたら送りますね」

    数か月後『オニリンピック』のチケットが送られてきた。
    参加しようか迷っている。
    だって、鬼が出るか蛇が出るか……

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    #シロクマ文芸部 と #風まかせ文芸部 に参加しました。

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    棍棒バッティング競争もできそうですね!






     
     

    kao

     
     
    短い小説を書き、短歌も詠む足が遅いランナー。春から秋はガーデニングも。 還暦プラス4です。

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