
コードを書かないAI時代のエンジニアの腕の見せ所
AIの登場により、ゲームの開発に大きな変化が起きているらしいです。
先日聞いたbackspace.fmの内容と、直近自分がみたインディーゲーム開発の事例を合わせつつ、考えたことを書いてみます。
ゲーム開発とAI利用
最近のゲーム開発はAIの利用が前提になっているそうです。「コードをAIで書かないとかあり得ないよね?」くらいの状況になっているのだとか。
これは個別のゲームの実装の話だけにとどまらず、現代のゲームを支える基盤技術の分野でも「これもしかしてAIが考えたんじゃない?」と思えてしまうような技術革新が起きているらしい。
AIを使った開発が当たり前になった環境の中で、人間のエンジニアの差別化ポイントは「いかにして良いアルゴリズムを考えてAIに伝えるか?」という発想力の部分になっていきそうです。
(下記動画の1:21:50あたり参照)
ゲーム開発エンジニアの転職と企業のAI活用
最近ではゲームエンジニアが転職する場合、業務でAIを使えるのは大前提で「どれくらいAIを使えるのか?モデルの選択肢はあるのか?」という部分が転職先企業を選ぶ指標の一つになってきているとのこと。
これはゲームのエンジニアに限った話ではなく、おそらくITエンジニア全般の転職において一般的な考え方になりそうな予感があります。AIのアウトプットが人間を凌駕した今、生産性が重視される企業に所属するエンジニアはAIを使ったアウトプットがメインになることでしょう。 自分でコードを書きたい場合はAIの学習データが足りないようなニッチな分野か、もしくは生産性度外視の趣味の分野に限定されるのかもしれません。個人でOSSに参加する人や、個人やサークルでインディーゲームを開発するような人以外はコードを書かなくなるのかも。
企業側からみるとAIの活用は推進したい(しないと生き残れない)ものの、高額なAPI利用料や統制の面が悩ましいところ。(下記動画の1:24:00あたり参照)
そうなると、企業としては「API利用コストが抑えやすく、統制しやすい自社の環境でAIを動かすのはどうか?」という方向に思考が進みそうな気がします。 自社内でAIを動かすにしろAPIを使うにしろ資本力のある大きな企業が有利になる状況が生まれるかもしれません。最近はAIの利用によって小規模組織でも大企業に匹敵する生産性を出せるというような風潮がありましたが、再び潮目が変わるようなこともあるやもしれません。
とはいえAIを使えば誰でも面白いゲームが作れるわけではない
「AIを使えば誰でもゲームが開発できるのか〜」となるかというと、そう簡単な話でもありません。
AIに「OOみたいなゲームを作って」と依頼すると確かにそれっぽいものは作ってくれるのですが、ゲームバランスの調整やゲームにのめり込む仕組みの調整によって完成品の品質は大きく変わります。 手練れのゲームエンジニアがもてる知識をスキルに変換してAIにチューニングさせると、スキルを使う前よりも圧倒的に面白いゲームになるのだとか。
この辺りも「いかにAIに良いアルゴリズムを渡すかがエンジニアの腕の見せ所になる」という部分に通じそうです。
自分が見てきたゲーム開発の事例
渋谷のインディーゲームイベント
2月に渋谷で開催されていたインディーゲームのイベントに行ってきました。 会場内は参加者の熱気で満ちていて、インディーゲーム開発者が自分のゲームを展示するMaker Fairのようなエリアや、面白いゲームに賞を贈るイベント、企業とインディーゲーム開発者をマッチングするような場所もありました。
私が会場で聞いた範囲の中では、「AIを使わないゲーム開発とかありえないよね」みたいな論調はあまり聞こえてこなかったように思います。会場が「ゲームを楽しむ人」と「自分のゲームを楽しんでくれる人に熱く語る開発者」みたいな構図だったので、開発効率とは論点が違っていたというのもあると思います。
会場をぐるぐる見ていると「これ本当に個人が作ったの?商業ゲームではなくて?」みたいなクオリティのゲームがたくさん展示されていました。しかものゲームを開発したのは本業でゲーム開発をしている人ではなく学生だったりするから驚きです。
展示しているゲーム開発達はみなさん楽しそうで良い表情をしていました。「自分が考えた面白いゲームを(AIの力を借りながら?)形にして、そして一緒に面白いと感じてくれる人たちと楽しむ」というのは人生の時間の使い方として豊かそうだな、なんて思いながら見ていました。
インディーゲームは世界的に見ても盛り上がっている分野らしく、個人が開発したゲームに感銘を受けたプレーヤーがわざわざ国外からやってきて、イベント会場で開発者と握手しながら「このゲームに出会えて良かった。作ってくれてありがとう。」と涙するようなこともあるらしいです。
大企業で超有名なゲームを開発していたエンジニアがそのノウハウを存分に注ぎ込んで趣味のゲームを開発しているような事例もあるのだとか。AIの開発スピードにエンジニアの経験が合わされば、小さな規模ですばやく開発を進められてとても強そうです。
知人のインディーゲーム開発者
この方は何十年選手というような経験豊富なエンジニアですが、今回のゲーム開発では自分は一切コードを書いていないと話していました。
ご飯を食べながら最近趣味で開発しているゲームを少し遊ばせてもらいましたが、とてもクオリティが高く、企業が開発して利益をだしているゲームと見分けがつかないです。 開発だけでなくゲームシステムの中でもAIを活用していて、今はゲームバランスの調整やバグ潰しをしているとのことでした。
AIを活用することで動くものができるまでが爆速になり、デザインの品質も上がったと話していました。
最後に
ゲームに限らず、これからの世界ではあらゆるシステム開発でAIの利用が当たり前になるはずです。要件定義から開発、テストやQAまで、AIが人間には真似できないスピードで進めてしまう世界がもうそこまできています。
AIが開発する世の中ではアルゴリズムやアイデアを思いつくこと、そしてそれをAIに伝えられることがエンジニアとしての評価に直結しそうです。アイデアはそれまでの経験や知識から生まれるので、自分で色々体験して楽しみ、そして思いついたものを実際に作ってみる姿勢を無くさず過ごしたいと改めて感じました。