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【エッセイ】北海道2泊3日その5

    勢いとノリで、ゲレンデMTBをやることになったわけ。というか司会進行は私なのであたかも他の人が決めたとかそういう言い方をしてはいけない。

    まだ雪のない北海道。ただただ広いゲレンデのような場所に着き。まぶしい光を浴びて受付に。うだるような暑さ。子供は自転車に乗れるとウキウキだ。そして私も自転車が好きなのでウキウキしていた。時刻はお昼時。ただ朝食バイキングでお腹も減る気配がないもんだから。体を動かさなくてはいけない。

    いっちゃあなんだけど私はロードバイクが好きだ。富士山とかも走ったことある。登るのが早いわけではないが、坂道、山道を登る辛さっていうのはある程度しっていますよ。だからこう。慢心しきっていたわけ。いっちゃあなんだけど。

    案内をされ、MTBを手渡される我々。
    そしてセッティング中に色々と問題が発生する。

    まず、下の子はMTBというか大きめの自転車に慣れていない。年齢にしては身長は高めであるが、そもそもMTBに乗るにしては色々と知識がない。普段乗っている自転車と見た目が違うものだから「そもそも手が小さくてギアも変えられないしっていうかギアって何」という問題にぶち当たる。歯を小さくすると重くなってのあたりで「何で小さくなると重くなるの?」って物理専攻みたいな質問が始まってしまったので、ううむ、MTBを操るのはまだ早かったか?そして私もうまく説明できないぞ?文系だったからか?

    己の当時の専攻を呪いながら上の子はどうかというと。上の子はMTBを操ることはできるのだが、そもそも自転車は平坦を走るためのものぐらいでしか捉えていないもんだから、坂道が急になると踏ん張って漕ぐことができない。経験したことのない脚力を迫られても、その力を込めることができないというか。なんだか普段から綺麗な道とかしか走ってないから悪路は走れなくってよみたいなブルジョワジーな感じ。「こんな道!走れなくってよ!全部平坦にしておしまい!オーッホッホッホ!」まぁこんな高笑いない。こんな発言もしていない。要するに登れないんだよ。

    さぁ、困った。子供のためにMTBゲレンデを体験させてあげたいが、ゲレンデの上の方から下るという行為ができそうなのは私ぐらいのものだと気づいたわけだ。ううむ、登れなければ下れない。これは子供のための旅行だし・・・そんな真っ当な事を考えながらも、自販機でジュースを買い与えて「諸君らは休憩すべし!」と言い放ち、私だけがゲレンデの方にMTBで漕いで登っていくことにしたお金払ってるし、私が行って様子を見てこようというわけだ。

    しかし、これが漕いでも漕いでも目的の位置に辿り着かないというか、ちょっと体験したことのない激坂っていうんですかね。いやこんなの激坂のうちに入らないですよって言いたいんですけど。まって、あわわわわわ。

    ぐらりとバランスを崩し転がる私。

    夏、青空、通り抜ける風、なびく緑、転がるおじさん。

    なんだかとっても悲しい気分。北海道旅行に来て美味しいものを食べて、家族の思い出作って、それが、なんで、どうして!どうして私はここで坂道で佇んで汗びしょびしょで!なんだか悲しい顔をしなきゃいけないのか!

    かつて私はこう言いました。「ロードバイクが好きです。結構乗ってたんですよ。だからMTBも乗ってみたいよね」と。あの時の私は自転車という同じ括りでしか世の中をみていなかったようです。力の入れ方もギアの感じも全然違う私は、「いつかゲレンデでMTB」なんて目を輝かせてた自分を大きなギアでぶん殴りたい。「お前は何か敬意というものを忘れていないか?」と言いたい。

    いややる事を決めたのは私なので、ここまでぶーすかいうのもどうなんだってはなしもあるってば。

    登るの、辛過ぎる。自転車を起こし、なめくじ界のスター!ぐらいの時速しか出ない。さぁ、困った。子供にジュースでお茶を濁しつつ、颯爽と登って降りてくると言った手前汗ビショビショ。やったことない競技ができると過信するニワカの愚かさよ。北の大地で呪われろ。この山、どこかの富豪が平らにしてくれねえか。


    どれぐらいの時がたったかわからないが、まぁどうにかこうにかあって下り始める場所にはたどり着いた。汗をかき過ぎてシャツがピッタピタでもう日差しの眩しいゲレンデだとか、普段雪が積もってる場所だから感慨深いとかそういう思考の感動を飛び越えて、いつ足が攣るんだかよくわからない己の太ももとしか対話ができていなかった。マイフレンズ、マイ太もも。ここまで連れてきてくれてありがとう。

    下りは楽しかったよ。ただ一瞬だった。あまりにも一瞬だった。この楽しさを味わうために、もう一度登るのか・・・あの辛さを???もう一度だって???

    でもやった。4回やった。金払ってるもん。足はまるで小鹿の様に震えていたし、登りは辛かったが、楽しかったのは事実。2回目からは謎の心の余裕が生まれてゲレンデ独り占め感に感動した。なんで初回は太ももとしかしゃべれなかったのか。謎だ。こどもはぶっちゃけゲレンデとかじゃなくてその辺ぐるぐる走り回って追いかけあってただけで楽しそうだったから、ゲレンデじゃなくてよかったんじゃねとかよぎったけどもう済んだこと。ということにしよう。

    「お父さんが楽しかったんだからよかったじゃん」

    車に乗り込む際に子供の放った言葉が妙に刺さった。それはもうぐっさりと。

    その後、ホテルに戻り夕ご飯までプール。謎のスライダーで浮き輪をセッティングする係の人が浮き輪を引っ張る際に右腕の筋肉がグッと浮き出るもんだから「ポパイさん」と私に勝手にあだ名をつけられ、「ポパイさんのいう事は聞きなさい」「ポパイさんの後ろに立ってはいけないよ」「あんまりポパイさんの右腕に負荷をかけてはいけない」と子供に変な事を吹き込み始めた私は妻に軽く説教された。昨日入ったばかりなのにばしゃりばしゃりとはしゃぐ子供たち。本当子供ってプール好きだなぁ。

    続く。


     
     
    自己紹介をします。 モデル、タレント、俳優、副業でFIRE、チンフルエンサー、会社員、夢を叶える、生きるマインド発信、身長195センチ、体重65キロ、八頭身、文筆家、キャリアを切り開く、セミナー開催。 一個だけ本当 趣味は自転車と楽器と文字書きです これは全部本当

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