
ビートルズ、何から聴けばいい?|一瞬だけ思い出した『オールディーズ』
ビートルズのことを、noteに何度か書いている。
先日、仕事仲間から、そのうちのいくつかを読んだと言われた。
こんな記事までちゃんと読んでくれているのは嬉しい限りで、そこまで読んでくれたのならスキの一つくらい押してくれてもよさそうなものだが、どうなのだろうか、と一瞬思ったものの、わざわざ聞くのも野暮である。
その彼が突然、
「ビートルズで、何が一番好きなんですか」
と聞いてきた。
聞かれて一番困る質問である。
別にビートルマニアというわけではなく、ただ何かにつけて聴く程度でしかないのだが、それでも一番好きな曲となるとなかなか決められず、その日の気分によっても違うし、季節によっても違う。
そう答えると、
「じゃあ、今の気分では?」
と聞いてきた。
さて、何だろう。
答えようとしたところで、彼から矢継ぎ早に次の質問が飛んで来た。
「実は、あまり知らないんですよ。ものすごい数があるじゃないですか。歴史的背景もあるみたいだし、何から聴けばいいのかわからなくて」
そう言って、彼はスターバックスのカップを口元へ運んだ。
ビートルズを知り始めたころ、まだ自分だって大して知らないくせに少し知った顔をして、これから聴こうとしている友人に、自分のお勧めをあれこれ吹聴していたことを思い出した。
かなり昔、中学生のころである。
私がビートルズを聴き始めたころには、彼らはとっくに解散していたが、それでもアルバムはたくさんあって、どこから聴けばいいのか迷うのは今と変わらなかった。
もっともシンプルに初期のビートルズから聴くなら、『ビートルズ・オールディーズ』があった。
何から聴けばいいのか。
そんなことを聞かれたら、
「まず、これを聴いてみれば」
と一枚渡せばよかった。
説明なんていらなかった。
十分に素晴らしいから。
本当のところ、初期のビートルズを楽しむなら、私はいまでも『オールディーズ』が一番好きだ。
その後、ずいぶん長い時間が流れ、『アンソロジー』が出て、『1』も出た。
もちろん昔からベストなら「赤盤」も「青盤」もあり、それぞれ揃えてはいるのだが、それでも私にとって『オールディーズ』は少し違っている。
ビートルズがまだ現役だった時代に作られたベスト盤でありながら、その後、公式盤としてはCD化されていない。
収録されている曲が聴けなくなったわけではなく、むしろ今なら、聴きたい曲を探すことなど簡単である。
それでも、『オールディーズ』は公式にはないままだ。
* * *
彼がコーヒーを一口飲んだ。
「CDジャケットの真っ赤なバックに、大きく黄色い『1』って書いてあるのがあるから、それを聴けば間違いないよ」
と、私は答えた。
歴史的には、初期・中期・後期があって、それを網羅的に追うのなら、赤と青の、それぞれ二枚組になったアルバムを聴いてみればいい。
そんな話もした。
彼は、まず『1』を聴いてみると言っていた。
たぶん、それでいいのだ。
いま初めてビートルズを聴く人に一枚を薦めるなら、私もまた『1』を薦めるだろう。
けれど、あのとき私の頭に浮かんでいたのは、真っ赤なジャケットに黄色い数字が書かれたCDではなくて、
『オールディーズ』のLPレコードだった。
ビートルズをこれから聴く人へ、ちょっと補足
本文に出てきた『1』は、2000年に発売されたベストアルバムで、赤いジャケットに大きな黄色い「1」が描かれている。
「赤盤」「青盤」は、それぞれ『ザ・ビートルズ 1962年〜1966年』『ザ・ビートルズ 1967年〜1970年』と呼ばれるベストアルバムで、初期から後期までをもう少し広く追って聴いてみたいなら、この二組から入るのもいいと思う。
そして『ビートルズ・オールディーズ』は、1966年に発売された、ビートルズ初の公式ベストアルバムである。
アルバムそのものは、ビートルズの公式盤としてはCD化されていない。ただし2026年現在、別レーベルからモノ/ステレオ音源を収録した復刻企画盤が発売されているほか、収録されている曲そのものを聴くことは難しくない。
だから、曲を聴くことには困らない。
それでも私にとって、初期作品なら、やはり『オールディーズ』一択です。
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