
レヴリフレンズ『星見山』117話|祠に封印されし悪
ハクウン
「もともと,星見山は
一つの山だったそうです」
サル
「昔は,ちゃんと
山があったんだな」
アリ
「何で無くなったんや?」
⸻
ハクウン
「理由は,僕も
はっきりと分からないんですが」
「争いの末,
壊してしまったのだとか…」
クモ
「壊すって…?」
サル
「山をか!?」
アリ
「いくら何でも無茶やろ…」
ハクウン
「実際に見たわけじゃないので
何とも言えませんが…」
「ちなみに,
僕はその時に生まれました」
アリ
「また,
えらい時に生まれたもんやの」
⸻
ハクウン
「当時,この場所には
混沌しか存在していませんでした」
「陽がいくつも同時に昇ったかと思えば,
急に旅行すると言い出し
暗闇の世界を作り出したり」
「川は炎のように天を舞い」
「風は姿を現したまま,
大地と共に空で寝ていました」
アリ
「何やそりゃ?」
「意味不明な世界やな」
クモ
「まさに,
絵に描いたような混沌だな…」
⸻
ハクウン
「ところが,ある日
旅の者が訪れたことで
歴史が動き出しました」
「旅の者は,
お連れの方と共にしばらく滞在し
何やらしていたそうで」
「その時
僕は居なかったのですが,
戻って来た時には
ほぼ今のような世界に
なっていました」
「そして,
立派な祠が建てられていました」
アリ
「祠…か」
⸻
サル
「んで,誰だよ?」
「その旅の者たちはよ?」
ハクウン
「分かりません」
「ただ,その者たちは,
哲岳の方から来られたと,
言っていました」
「以前,
星見山に来られたことがある,
とも言っていました」
クモ
「手がかりはそれだけか」
⸻
ハクウン
「なんでも,その祠は
闇を保存するためのものだそうです」
「その祠の中に,
混沌を保存し封印することで,
星見山に秩序が戻りました」
小鳥
「その祠は,
今どこにあるの?」
ハクウン
「そのことなんですが…」
アリ
「何や事情がありそうやな」
ハクウン
「祠は,
闇を吸収する性質がありますが,
それは,つまり
悪も吸収するということなんです」
「祠は星見山に漂っている悪を
少しずつ吸収していきました」
「もちろん,
僕の中の悪も含めて」
サル
「便利な祠だな」
ハクウン
「その点については
賛否両論ありますが…」
「やがて,
祠の封印に限界が来ました」
⸻
サル
「どうなっちまったんだ?」
ハクウン
「そこで,
祠を隔離するために創られたのが
霧の世界です」
「そして,祠から悪を取り出して
その悪に,祠と世界の支配を任せた」
「その悪の支配者が,
コクムというわけです」
「今では,その祠は
霧の世界の入口となっています」
「と言っても
雲の世界からは
直接見ることはできないのですが」
クモ
「なるほど」
「だから,コクムは
ハクウンが生み出した,
と言えるのか」
ハクウン
「そうですね」
「最近は闇の力がみるみる増大し,
この雲の世界と
均衡するほどまでに
成長しました」
「そこは少し心配しています」
「世界の秩序を守るためとはいえ,
本当にこれでよかったのかは
議論が分かれるところです」
猫
「時の流れも不安定だから
歴史が変わる瞬間なのかもね」
⸻
フクロウ
「祠に封印されし悪」
「そこから誕生したのが」
「コクムというわけか」
