
月を見る|シロクマ文芸部『暗闇でしか見えない月光』
「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聴こえぬ歌がある」
月を見る。
月の光は、夜しか見ることはできません。
これままさに、夜という暗闇でしか見えぬものといえるでしょう。
人生にも、暗闇があります。
私は、今その暗闇の中にいると思います。
精神疾患。
それを私は持っています。
まったく動けない日もありました。
希死念慮に苛まれたこともあります。
きっと、これからもあるでしょう。
そんなとき、様々な文学が私の隣に座っていました。
萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)の『月に吠える』という
詩集の中に、こんなものがあります。
天上縊死(てんじょういし)
遠夜に光る松の葉に、
懺悔の涙したたりて、
遠夜の空にしも白ろき、
天上の松に首をかけ。
天上の松を恋ふるより、
祈れるさまに吊されぬ。
私の暗闇を照らした月の1つは、この詩でした。
死んでしまいたい気持ちを、既に死んだ詩人と共有できた気がしたのです。
『月に吠える』は、大正時代に生まれた詩集です。
大正に生まれた月の光が、時を超えて、令和を生きる私の元へ届きました。
本物の月には手が届かないのに、
詩という月には手が届いた気がしました。
この詩はきっと、明るい太陽のような人生では、
昼間の月となって、白く霞んでいることでしょう。
でも、暗闇を生きる私にとってのスーパームーン。
さぁ、今一度、人生の夜を覗いてみてください。
あなたが、暗闇の中でしか見えない月光は、一体何でしょうか!?
参考文献
連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』
萩原朔太郎「天上縊死」『月に吠える』青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/859_21656.html
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