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月を見る|シロクマ文芸部『暗闇でしか見えない月光』


    「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聴こえぬ歌がある」

    連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』から、棗黍之丞(なつめきびのじょう)の台詞。

    月を見る。

    月の光は、夜しか見ることはできません。

    これままさに、夜という暗闇でしか見えぬものといえるでしょう。

    人生にも、暗闇があります。

    私は、今その暗闇の中にいると思います。


    精神疾患。

    それを私は持っています。

    まったく動けない日もありました。


    希死念慮に苛まれたこともあります。


    きっと、これからもあるでしょう。


    そんなとき、様々な文学が私の隣に座っていました。

    萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)の『月に吠える』という
    詩集の中に、こんなものがあります。

    天上縊死(てんじょういし)

    遠夜に光る松の葉に、

    懺悔の涙したたりて、

    遠夜の空にしも白ろき、

    天上の松に首をかけ。

    天上の松を恋ふるより、

    祈れるさまに吊されぬ。

    萩原朔太郎「天上縊死」『月に吠える』青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/859_21656.html


    私の暗闇を照らした月の1つは、この詩でした。

    死んでしまいたい気持ちを、既に死んだ詩人と共有できた気がしたのです。

    『月に吠える』は、大正時代に生まれた詩集です。

    大正に生まれた月の光が、時を超えて、令和を生きる私の元へ届きました。


    本物の月には手が届かないのに、
    詩という月には手が届いた気がしました。


    この詩はきっと、明るい太陽のような人生では、
    昼間の月となって、白く霞んでいることでしょう。


    でも、暗闇を生きる私にとってのスーパームーン。



    さぁ、今一度、人生の夜を覗いてみてください。


    あなたが、暗闇の中でしか見えない月光は、一体何でしょうか!?



    参考文献
    連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』
    萩原朔太郎「天上縊死」『月に吠える』青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/859_21656.html




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