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Photo byhiiro_archive153

Wait 10 minutes #シロクマ文芸部

    待つ時間をいかに過ごすか、それが重要だ。

    ショッピングモールの中にある噴水は、吹き抜けで見通しがよいからか、待ち合わせで利用する人が多い。
    噴水を見ていた玲央れおは、ジーンズのポケットに振動を感じ、スマホを取り出した。

    「ごめん、10分ほど遅れちゃう」
    彩さやかからのメッセージは簡潔だ。
    電車が遅れてるのか、支度に時間かかったのか、理由はよくわからない。
    でも……。
    この10分は貴重な時間だ。
    玲央は前から気になっていた、同じフロアにある洋菓子店に向かった。

    ◇

    待つ時間をいかに過ごしているのか、それが重要だ。

    ショッピングモールの3階から、彩は噴水を見下ろしていた。
    玲央にメッセージを送り、様子を探る。
    スマホの画面を見た玲央は、すぐに歩き出した。
    同じフロアにある洋菓子店に、玲央は入っていく。

    もしかして、何かスイーツを買ってくれるのだろうか?
    彩の口元が思わず緩ゆるんだ。
    相手が待っているときに、どのような行動をとるか、彩は観察をする。

    スマホに目を落とし、ただじっと待つ人。
    暇つぶしに、コンビニに向かう人。

    でも、待ち時間を利用して、スイーツを買ってくれる人は初めてかもしれない。
    この人は当たりかも……彩はそう思った。

    ◇

    「ごめん、待たせちゃって」
    彩は急いで駆けつけた素振りをしながら、玲央に声をかけた。
    「全然大丈夫だよ」
    玲央は笑いながら手を振った。もう片方の手には、洋菓子店の紙袋を持っている。
    「暇しちゃったよね、ホントごめん」
    手を合わせる彩に、玲央は、
    「買い物してたから…ほら」
    と言って紙袋を持ち上げた。
    「あ、そのお店知ってる。美味しいって、すごく評判だよ」
    彩は目を丸くして、驚いたふりをした。
    「そうなの? 前から気になってたんだけど……時間あったから、入ってみた。……後で一緒に食べない?」
    「えぇ!? 嬉しい……遅れてきてよかったかも」
    「毎回遅れちゃうのも、困るんだけど…」
    二人は笑い合いながら、歩き始めた。

    ◇

    洋菓子店の中では、店員がこんな会話をしていた。
    「どうしたの、険けわしい顔しちゃって」
    「いやちょっと、さっきのお客さんに頭きてて」
    「どういうこと?」
    「おすすめは? って聞かれて選んであげたんだけど……」
    「うん…それで?」
    「お店終わったら、一緒に食べませんかって…」
    「えぇ!? ナンパされたってこと」
    「うん。前から気になってたとか言っちゃって……」


    小牧幸助さんの企画に参加させていただきました。

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