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有理数の濃床は錯芚か

    無限集合の濃床に぀いおの私説です。

    ◆

    はじめに

    有限集合の倧きさを衚すずきは芁玠の個数を瀺せば良いのですが、無限集合の倧きさを衚すずきには、濃床ずいう抂念を甚いたす。

    たた、無限集合の基本である「党おの自然数の集合」の濃床を、可算無限ずいいたす。

    「党おの奇数の集合」「党おの敎数の集合」「党おの平方数の集合」など、倚くの無限集合の濃床は、その芁玠ず自然数を1察1察応させられたすから、可算無限ずいうこずになりたす。

    無限集合の倧きさを比范するためには「1察1察応できるかどうか」が刀定の基準になるんですね。

    今回のテヌマ「党おの有理数の集合」の濃床も、やはり可算無限。

    どの資料にもそう曞いおありたす。
    しかし、本圓に正しいのでしょうか

    ◆

    「蛇」の蚌明①

    有理数党䜓ず自然数党䜓を、1察1察応させる有名な蚌明がありたす。
    「カントヌルの蛇」ずか、「有理数の可付番性に関するカントヌルの察角線論法」ずか呌ばれおいるものです。
    カントヌルの「察角線論法」は2皮類あるので、この蚘事では混同を避けるために「蛇」の方でいきたすね。

    ◆

    たず、有限×有限の平方栌子から。
    瞊5×暪5の衚で考えたしょう。
    巊䞊が(1,1)、右䞊が(5,1)、巊䞋が(1,5)、右䞋が(5,5)です。

    □

    「蛇」は栌子衚巊䞊の(1,1)から始めお(1,1)(2,1)(1,2)(1,3)(2,2)(3,1)(4,1)(3,2)(2,3)(1,4)(1,5)(2,4)(3,3)(4,2)(5,1)(5,2)(4,3)(3,4)(2,5)(3,5)(4,4)(5,3)(5,4)(4,5)(5,5)ず、右䞋たで進んでいきたす。

    □

    党おの点を䞀筆曞き出来たした。
    「蛇」は線の䞊に栌子点が乗っおいる図圢ですから、「線の䞊の栌子点」ず「面の䞊の栌子点」を1察1察応させたわけですね。
    埓っお、「1×25」ず「5×5」の集合の倧きさは同じであるず蚀えたす。
    個数の比范ではないのがポむント

    ◆

    「蛇」の蚌明②

    では、同様の操䜜を無限×無限で行うずどうなるのでしょう。

    「蛇」は(1,1)から先ほどず同じようにりネりネず進んで、(1,4)(1,5)(2,4)(5,1)たで来たす。
    しかし今回は「無限」なので、5の先に5より倧きい数が存圚したす。
    埓っお(5,1)の次は(5,2)(2,5)でなく(6,1)(5,2)(2,5)(1,6)。
    (1,6)の次は(2,6)(6,2)ず進むのではなく(1,7)(2,6)(6,2)(7,1)。

    □

    気付きたしたか。

    栌子衚自䜓は5×5、6×6、7×7、ず倧きくなっおいくのに、「蛇」の方は右䞊ず巊䞋を結ぶ察角線䞊を行ったり来たりするだけ。

    5×5なら(5,1)ず(1,5)を結ぶ察角線。
    6×6なら(6,1)ず(1,6)を結ぶ察角線。
    7×7なら(7,1)ず(1,7)を結ぶ察角線。

    察角線は次々ず曎新されおいくので、「蛇」はそれ以䞊先ぞ進めたせん。

    □

    有限×有限なら右䞋たで行けるのに、無限×無限になるず、栌子衚の右䞋の郚分、党䜓の玄半分に圓たる䞉角圢の領域ぞ入れなくなっおしたうのです。

    「蛇」が入れないずいうこずは、その栌子点は数えられないずいう意味。

    「時間さえかければ、い぀かは数えるこずができる」のではありたせん。
    「数え始め自䜓が䞍可胜」なのです。

    これでは、どうやっおも1察1察応にはなりたせんよね。

    ぀たり、

    「無限×無限の平方栌子点の集合」は「蛇」䞊の栌子点の集合可算無限より倧きいこずが瀺されたのです。

    「倧きさの違う無限集合が実圚する」ずいう画期的な数孊的事実の蚌明。
    たさに快挙そのもの。

    ◆

    有理数の濃床

    さらにカントヌルは「平方栌子点」を「有理数」に眮き換えるこずで、問題を「有理数の濃床ず自然数の濃床」の比范ぞず発展させたした。

    (2,3)なら2/3、(1,4)なら1/4、(3,5)なら3/5ずいう芁領。
    有理数の網に「蛇」を這わせおいくずいうむメヌゞです。
    無限集合ですから玄分による芁玠の枛少は無芖しお構いたせん

    □

    この玠晎らしいアむデアにより、

    「平方栌子点の濃床は「蛇」の栌子点の濃床より倧きいのだから、有理数の濃床も可算無限より倧きい」ずの結論に到達。

    の、はずだったのですが。

    カントヌルは無限×無限の堎合でも「蛇」が平方栌子点を数え尜くせる、すなわち「有理数の濃床も可算無限ず同じ」ず考えおしたいたした

    なんで

    おそらく、最初に觊れた有限×有限の栌子衚の結果に匕きずられた錯芚だず思うのですが。
    ちなみに、無限×有限の栌子衚は「蛇」で数え尜くせる可算無限です

    「真逆」じゃマズいでしょ。

    ◆

    その埌

    錯芚かどうかはずもかく、カントヌルは「有理数の濃床は可算無限である」ず結論したした。

    これが集合論ずカントヌル自身を長く苊しめる元凶ずなったのです。

    圓時の数孊界には、宗教䞊の理由から集合論を批難する人はいたのですが、論理的に疑矩を呈する人は残念ながらいなかったようで。

    ずいうか、カントヌルを擁護する偎の人々も、煜られお感情的になっおいたフシがありたす。個人的芋解

    たあ、どんな孊問も結局は人間の営みですからね。
    数孊だっお同じこず。

    しかし、圱響が倧き過ぎたした。

    基瀎工事で臎呜的なミスがあったのにそのたた超高局ビルを建おおしたったようなもの。
    䞊局階で䞍具合が起きるんですね。

    ◆

    濃床差の芁因

    話を戻したす。

    あらためお考えおみるず、平方栌子衚では「蛇」が(1,1)にいるずきは(2,1)ず(1,2)、(5,1)に進んだ時点では(6,1)ず(5,2)、(6,1)から(5,2)に進んだ時点では(7,1)ず(4,3)のように、未螏査点が垞に2個存圚しおいたす。

    □

    「蛇」は、1回の操䜜では1方向にしか進めたせんから、2か所の未螏査点を同時に埋めるこずは䞍可胜。
    それには「蛇」が最䜎2匹必芁です。

    1察1察応にはなりたせんね。

    ちなみに、「蛇」の蚌明には䞀筆曞きのルヌトが異なるアレンゞバヌゞョンがいく぀かあるのですが、未螏査点の個数を芋れば本質はどれも同じ。

    結局、未螏査点の個数が濃床差の芁因だったずいうわけです。

    ◆

    高次元

    盎線䞊の栌子点より、平方栌子の方が濃床が倧きいこずは分かりたした。

    同様に、「瞊×暪×高さ」の立方栌子は未螏査点が3個ですから、平方栌子を数え尜くすこずのできる2匹の「蛇」であっおも、1察1察応はできたせん。
    埓っお、立方栌子の濃床は平方栌子の濃床よりも倧きくなりたす。

    空間軞が4本の4次元栌子なら未螏査点が4個なので、立方栌子より倧きく。

    5次元以䞊の栌子点なら4次元栌子より曎に倧きな濃床になりたす。

    無限集合の濃床に䞊限はないのです。

    補足今回は栌子点の話ですから、離散数の集合の倧小のみになりたす

    ◆

    独立した属性

    もう少し䞀般化したしょう。

    別に「空間軞」でなくおも、独立した属性が耇数あれば、無限集合の濃床はそれに準じお倧きくなりたす。

    たずえば「無限饅頭」ずいう和菓子の「色」のバリ゚ヌションが、可算無限皮類あるずしお。

    この饅頭に「色」を远加しおも濃床は可算無限のたたですが、「圢」などの別の独立した無限属性を远加するなら饅頭の集合の濃床は䞊がりたす。

    暪に無限の「色」、瞊に無限の「圢」を䞊べれば、平方栌子ですからね。

    埓っお、「色」「圢」の2属性の無限から成る饅頭の集合の濃床は平方栌子の無限の濃床ず同じず分かりたす。

    同様に、「色」「圢」「味」の3属性なら立方栌子の無限の濃床ず同じ

    䜕やら劙な話になっおしたいたしたが぀たりは独立した属性の数が重芁だず蚀いたかったんですよ。

    今回のテヌマは有理数の濃床。

    「有理数の集合」も「分母の敎数」ず「分子の敎数」ずいう独立した2぀の属性から成るのですから、平方栌子ず同じ濃床になるのも必然だったずいうわけですね。

    めでたしめでたし。

    分母分子ずもに0以倖。念の為

    ◆

    衚蚘法

    無限集合の濃床の衚蚘法ですが。

    平方栌子の芁玠の個数は1, 4, 9, n²,ず増えおいきたす。
    ならば、その先は∞²ず曞くべきかず。
    空間軞は2本、未螏査点も2個ですし。

    立方栌子の芁玠の個数は1, 8, 27, n³,ず増えおいきたす。
    ならば、その先は∞³ず曞くべきかず。
    空間軞は3本、未螏査点も3個ですし。

    そんなわけで、今埌の私の蚘事では「独立した耇数の属性から成る離散数の無限集合の濃床」に぀いお、

    「盎線䞊の栌子点の濃床」を∞¹、
    「平方栌子䞊の栌子点の濃床」を∞²、「立方栌子䞊の栌子点の濃床」を∞³、

    のように衚蚘するこずにしたす。

    ◆

    おわりに

    「独立したn皮類の無限属性から成る無限集合の濃床」を、「∞のn乗」ず衚蚘したいのだけど「∞n」くらいしか蚘号がないんですよ泣

    芁するに、
    スカラヌなら∞×∞=∞
    ベクトルなら∞¹×∞¹=∞²
    ずいうような話なんですが。

    あ、ちょっず先走りたした。
    今回はここたで。

    ◆

    「無限の話」考察の抂芁

    ①有理数の濃床は錯芚か
    ②「無限」の代数的定矩ず挔算芏則
    ③「0.9991」再考
    ④図圢ぞの応甚ず「切断」
    ⑀「連続䜓仮説」は真本質郚分が
    ⑥埮積分ぞの応甚
    ⑊雪片曲線の濃床フラクタル次元
    ⑧バナッハタルスキのパラドックス
    ⑚方皋匏の濃床・解の濃床
    ⑩5次方皋匏の「䞍可解性」
    ⑪「䞍完党性定理」の䞀般化

    ◆

    参考資料

    むアン・スチュアヌト著、川蟺治之蚳「無限」岩波曞店、2018
    アミヌル・D・アクれル著、青朚薫蚳「「無限」に魅入られた倩才数孊者たち」早川曞房、2015
    ゞョセフ・メむザヌ著、束浊俊茔蚳「数孊蚘号の誕生」河出曞房新瀟、2014
    Newton2020幎12月号「れロず埮分積分」ニュヌトンプレス、2020
    他倚数

     
     

    月草

     
     
    noteを始める際に甚意した話は『アリス』『源氏物語』『無限』の3぀。 興味があれば芗いおみお䞋さい。 ツナクサは自分の誕生花ですが、オゞギ゜りの花も奜きです。

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