メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1344.走馬灯 ~完~


     正気であれば俄にわかに信じる事が出来ない話だ。
     子供染みた妄想や空想の類にしか思えないだろう。

     だが私、ダソス・ダロスはこの話を信じてしまった。
     勿論、長い歳月の孤独を解消してくれたガトに対して尋常ではない感情が無かった訳ではないがそれだけが理由ではない。
     私自身が彼女の中に何か神々しい物の存在を感じていたし、何より初めて目にした瞬間に幻覚だろうと思ってしまった理由でもある、彼女が纏う魔力の異質さがあったからだ。

     モンスターの刺さる様な殺気を帯びた物とも、魔獣や魔術師、竜に共通しているどこか制御されている感じの質とも、野生の動物や植物が持つ単純な生命力とも又違う独特さと表現すれば良いだろうか。
     何者も拒む事無く受け入れる包容力と、自身やコミュニティーを侵そうとする者に向けられるだろう酷く享楽的で残酷的な暴の力を具有している感じで、脆そうでありながら何故かバランスが保たれ安定している事が見て取れた。

     何より、モンスターの魔力は濁った斑まだら模様、魔獣や魔術師と竜は無色透明だが、ガトの魔力は鮮やかに光り輝く黄色、言い換えれば金色である。
     野生動物や里人の中に、色付きの魔力を持つものがいない事も無いが、ここまで鮮やかなのは珍しい、と言うより初めてお目に掛かった。
     それだけでも彼女、ガトが特別で神聖な存在だと、私には即座に理解出来てしまったのである。

     はっきりと意識した時から私の生活は安らぎに満たされた物になった。
     とは言え、キックバックの苦しさや四肢を砕いて全身を伝う痛みが軽減された訳ではない。
     寧むしろ、ガトと言う魔力供給源が新たに加わった事で体の膨張と患部の破壊は度合を増していた。

     化けた者の能力をコピーする彼女のスキルでは、私の痛みを消し去る事も、変化し続ける体を治療する事も出来なかったが、私に一つの変化を生んだ。
     私は失神する時、叫び声を堪える事にしたのだ。
     激痛の中、歯を喰いしばり出来うる限りの平静を演じながら、正気が失われる直前まで彼女に笑顔を向け続けた。
     毎回私に縋り付き、悲しそうな顔で流す彼女の涙を止めたかったからだ。

     しかし、結局今日まで彼女が泣き止む事は無く、私の努力は徒労と終わっている。
     もっと上手に笑えていたら……
     自由な頃に仲間達と心の底から笑い合ったあの頃に、彼女に出会えていたら……
     未練は尽きないが命の方はそうもいかないようだ。

     今日、気を失った時、ガトは近くにいなかった。
     里に降らせた『再生雨』が、何か強大な魔力に接して止まる気配を見せなかった為、キックバックの増加を心配した彼女が様子を確かめに向かったのだ。

     良かった。
     これ以上彼女に涙を流して欲しくは無いからな。
     出来るなら爆死で跡形も無く、なんてのは贅沢だろうが臨終の瞬間に立ち合わせないだけマシだと思おう。

     そろそろ旅立ちの時なのか、今日まで一時も消える事が無かった全身の痛みが消え去って行く。
     体がふわふわと、空を飛んでいるような不思議なリズムで、まるで誰かに担がれているみたいな不思議な気分だ。

     これが死か。

     死に瀕して見るらしい、自分の生涯走馬灯バージョンの回想も終わったしな……
     さらばだ、私の女神ガトよ…… 君の生涯に幸多からん事を願う……

     ズズーン!

     何か大きな物が地面を振るわせた様だ。
     っ! も、もしかしてあれか? 生前親しくて先に身罷った者が迎えに来るとかなんとか言うヤツ、なのか?

    ……とらぁ、……おい、……とらぁ

     テトラ? 私の名前だっ! 子供の頃の呼び名だが、一体誰が…… あ、兄上かっ!

    ……おーい、聞こえないのかよぉ、……とらってばぁ!

    『兄アンちゃん! オイラはここだよっ!』

    「へ? あんちゃん? って俺?」

     勢い良く目を開けると、知らないニンゲンのアンちゃんが紫の魔力を纏ってそこに立っていた、後ろには赤ドラゴンが同じく紫のオーラに包まれている、お、ガトもいるじゃん♪ ……なにコレ、天国じゃあ無いよね、はてな?



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ