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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1659.アルタール


     屋敷の奥は見る影も無く燃えていたが、石造りの壁面と同じく石葺いしぶきの屋根が残っていた。
     この辺りは館全体でも古くから残された部分に当たり、そのお蔭で焼け落ちる事を免れたのだろう。

     ここはベラが見当をつけた食堂とその奥に当たる食料庫だった場所である。
     かつてダキアが今来いまきの宗教を受け入れる前、この地下には古い祭祀場があった。
     しかし最近の百年位は定温を要する食品の保管庫として使っていた筈だ、流石の狂信な一神教も時代の波には勝てなかった、その一例だろう。
     かつて雷神サルモクシスへ永遠の忠誠が誓われた円形の祭壇は、ダキアにとって大切なホエイと草の根っこ置き場となったのだ、惨い。

     その円形祭壇が地上に引き出され、焼け残った屋根の最奥に鎮座されていた。
     総石造りで金属含有量が多く、嵐の中での雷受けとしても機能していた超重量の歴史的遺物が無造作に置かれていたのだ。
     円形の中央、本来ならば最高神にして唯一の神、サルモクシスであるルキフェルが祀られる場所には一人の少女が質素なカウチに足を投げ出し、所在無さげに何も無い空間を見つめる姿があった。

     ベラは毀こぼれ掛けた眼球を動かして霞む視界に彼女を捉えると、ガタガタボロボロに折れた歯を鳴らしながら小さく呟きを洩らす。

    「お嬢さま……」

     その微かな声を聞いた瞬間、少女は長いすの上でバッと音がしそうな勢いで半身を起こして振り向いた。

    「ベラ! 貴女なのっ? 夢じゃないのよねっ? ああ、早く近くで顔を見せて頂戴っ!」

     うん…… そう来るだろうけど顔はちょっと見た位じゃ面影程度しか残されていないと思うぞ。

    「はい、ですがお嬢様…… 街のこの有様は、一体?」

     まあね。

    「そんなのどうでも良いじゃない! それより早くこっちに来てっ! ああ、待ち切れないわっ!」

     そんなのでもどうでも良くも無い件…… パッと見、魔境っぽいぞここ? んで早く早く言う割りにお前から駆け寄ったりはしないんだな? あれか? 立場の違いは明確化とかそーゆー?

     まあ田舎とは言え、生粋のお嬢様との接し方はメイドのベラが良く心得ているらしく、溜息一つ吐いただけで自分から祭壇の方へ歩み寄っていった、残念ながらスタスタでは無くカックンカックンであったが見るからに大怪我なのだ、仕方あるまい。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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