メインコンテンツへスキップ
見出し画像

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
    143.ハートフルビート

    はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

     あれれ? おかしいな?
     確かにこのフェンスの上に置いた筈なんだけど……? あっ!
     
     コユキは見つけてしまった!
     今まさにここから離れようとダッシュしているオッサンの背中を!

     ん、んんんんん? あれれ、あれってさっきのレゲエのオッサンじゃないの?

     それがコユキの正直な感想であった。
     確かにぶっ倒れて前後不覚に陥っていたオッサンに見えた、一瞬は!
     しかし、意外に鋭いコユキは見抜いていたのだ、故に思ったのだ、

    ────ち、違う! さっきのレゲエとは別の個体? そう別のホームレ…… 自由人だった、か、くっ! 最早、時既に遅かった、のか!

     コユキが目にした、元色が何色だったか判別不可能なオベベに身を包んだ、レゲエ(二号)は、トンズラ~宜しく、遥か遠くにバックレようとしていた。
     万事休す!(残念)

     そうコユキですら諦観ていかんした瞬間、彼女の脳裏に慣れ親しんだ、安心できる声が響いた。

    「即時配達ウー○ーイーツ」

     直後、絶望しかけたコユキの両手の中に、別個体の、ホームレ…… グフングフン! 自由人が持ち去った筈はずのツナギと、キャップ(大事)、スマホと財布が戻って来ていたのである。

    「うひょぉぅ! やるじゃない善悪エ~ンドオルクス君!! グッジョブ! 」

     喜び勇んでコユキはツナギを着込み、キャップを被って装備を整えるのであった。

    「オエッ! ケエセッ! 」

    ん? なんだ? このおっさんは?

    「ゾベ、おらブ服だドゥ、ボモ、ドーボーが、ぼい、ぼばべ、ドーボーだろ! ゴノビャボォ! 」

     うん、ドーボーってのが何の事かは分かんないけど、切れるよね、だってコユキだモン、何より…… 臭いし!! ってか、茨城大丈夫なのかよ?

    「うるさいっ!! アタシの服だろがっ! おい、オッサン! ドーボーじゃ無ーだろ! ド・ロ・ボ・ウ! だろっ? んで? あんだって? アタシがドロボウ? ざけんじゃねえっぞこの爺ジジイ! 」

     あ──あ──、大人げ無いなあぁ~、そういう方って、そんな感じで言ってくるもんなんだよ、こゆきちゃん!
     自分に自信の無い中年男性とか、運動苦手な弱虫君だって、車に乗ると強気になっちゃって、根拠もなく煽あおっちゃったりするじゃんねぇ? 弱虫に正論言っても伝わらないんだってぇばよっ!
     
     そんな観察者の声は当然聞こえる訳もなく、コユキの迫力にビビッた、二人目のレゲエは、

    「オ? オェ! ンゴンゴ! アイウエラ! ゥ! ゥッ! 」

    「もう良いよ! ……去ね! 」

    「ひっ! ひいぃっ! アンボアンボ、ヒゥアエラ! ドンヴィっダンっ! 」

     とか、訳ワカメなハートフルビートを刻みながら、リズムに合わせて去っていったのであった、ふうぅ~う、一件落着、かな?
     ブラックバスが異常繁殖なのは聞いていたけど、令和の時代にあんなおっさん達が繁殖しているとはチト、ヤバくないかね? 知らんけど…… な私、観察者であったが、コユキは違っていたようだ。

    「あんた! 市役所とか行って相談してみなさいよ! 」

     去っていくレゲエの背に声を掛けていた。
     対岸のレゲエもその声に反応したのかこちらを見ている。

    「よしっ! さて、帰るかね♪ 」

     胸元の隠しポケットの中で、赤い石が緑に光って同意を主張しているようだ!
     やる事は全てやったと言う満足感を満面に浮かべ、コユキは霞ヶ浦を後にするのであった。

    ***********************
    拙作をお読みいただきありがとうございました!

    画像



    あなたへのおすすめ