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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1598.カウンティングカース


     投げ落とされた小袋からは、当たり前に中身のキビが地面へと散らばった。
     ジャンキーっぽく変じたヴラドは瞬時に落下点にしゃがみ込むと無数の実を指差しながら一粒づつを丁寧に数え始めてしまったではないか。

     結構速いな……

     とは言え、なにぶん小さなキビの実だ、こぼれ出た分だけでも数千個以上、小袋の中まで入れれば優に万を数えてもきかないだろう事がありありと窺えるのだ。

     しかし、一心不乱に数え続けるヴラドからは、先程まで顕著だった廃棄物風味はすっかり消え失せ、今は心を平穏そのものに戻した純真無垢な少年の如き微笑みすら漏れているのである。
     ハンペラはシュカーラの脇からその様子を覗き見て呟きを漏らす。

    「何なん、この子…… 急にかわちくなっちゃって! アレかな? キビ中毒とか、そーゆー?」

     シュカーラは全てを理解した超越者顔で首を振りつつ答える。

    「いいえ、これは勘定中毒、所謂いわゆるカウンティングカース、つまり数えずにはいられない呪い、ですよ、洋の東西問わず鬼と名の付く悪魔には、総じてこいつが施されている物なのです」

     ああ、吸血鬼だもんな、カウントとか呼ばれてるし皆さんの時代ではあの有名なゴマ物語《セサミス○リート》にも勘定《カウ○ト》伯爵とか居たもんな、他にも篭目かごめを数えさせる単眼鬼退治とか? 節分の豆なんかも近いよね、大体あの辺の話だった筈だ。
     その辺りがかの南方熊楠先生がヴァンパイアに鬼の字を当てた根拠なのかも知れない。

     兎に角、結構博識なシュカーラの言葉を聞いたハンペラは感心しきりである。

    「ほえー、凄い物知りじゃん、ちゃんシュカ! どこでそんなん憶えたん?」

    「いえいえ、子供の頃に聞きかじっただけですよ」

     謙遜っぽく返したシュカーラの顔を覗き込んで返すハンペラの表情は益々ハテナである。 

    「子供の頃? って、ずっと一緒に居たじゃん、アァシ達」

     なるほど、コイツ等幼馴染だったのか、どうりで気安げだった筈だ。
     しかし、いつもクールでどちらかと言うとスカした感じのシュカーラの表情が一転している。
     なんかビックリしたっぽい感じである。

    「あれ? ですよね…… えっとぉ、どこで聞いたのでしょう?」

    「いや、知らんけど! まあ、賢くって良かったじゃん! アァシは助かったしぃ♪」

    「あ、はい…… ふむむむ?」

     問題を提起するだけしておいて自分だけ勝手に終息させるとは…… まあ、ハンペラの魅力はそこら辺にあるとしてだ、自分の記憶に疑問を持ってしまったシュカーラは未だ捉え所の無い不安に苛まれている様である。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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