メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1242.抑止力行使


     やり取りの間に、周囲の木々の間からは、鋭い視線がギラギラと光を放って向けられており、背後の川の中からも同様の殺気が幾つも感じられ、すっかり取り囲まれている事が感じられるようになっていた。

     その状態で動く事無く、こちらの様子を探っている相手に対してだろう、わざと聞こえ易く張られたレイブの言葉が場に響く。

    「スタンピートの時みたいに手加減しなくて良いからな! 食い物は確保してあるんだ、殺して構わんぞ!」

     周囲の殺気が躊躇うろたえを含んだ揺らぎを発する。
     レイブは畳み掛ける様に言葉を重ねたのである。

    「まあ、囲んでいるのがさっきの猫や犬、ミロルだかブロンだかならまだ話も通じるだろうけどな、それ以外なら撫で斬りなでぎり、皆殺しだな!」

     ミロンとブロルな…… 言い間違いはわざとかも知れないが、この言葉が響いた瞬間、木立の影や水の中からの意識がはっきりと別方向に動いた様だ。

     具体的には迷い、つまり殺る気満々だった統一意識が一気に萎しぼみ込んでしまい、なあ、戦わなくても良いんじゃないか? っぽいよな? どうする? ど、どうするってぇ、どうしよう…… 的な葛藤に基づくやり取りがあちらこちら、そこら中で交わされ始めた気配である。
     どうやら交渉か何かで平和裏にこの場を収めたい、レイブはそう思っている様だ。

    レイブの意図を理解したらしいペトラも同様の発言でアシストだ。

    『アタシがぶっ飛ばした方にもヘビっぽいヤツとゲッコーみたいな感じのリーダーがいたわよ、その二人も冷静そうだったけどね』

    「ほー、だってさギレスラ」

    『アンギャアーッ!』

    ゴウッ! チリッチリッチリッ……

     木々への延焼に気を配って上空に吐かれた炎は直線状に立ち昇り、大気に含まれる塵か何かを焼き尽くしながら周囲の温度を引き上げた後霧散していく。

     実際の戦闘においては、低温のブレスや濃密な魔力自体を放出する破壊のブレスの方がより有効だろうが、この場面で一見派手な炎によるパフォーマンスは一層効果的だ。
     つまり、打ち合わせなどの言葉を交わした訳でもないのに、ペトラ、ギレスラ共にレイブの真意を汲み取っているのである、素晴らしい。

     取り囲んだ一団はざわめき所かしわぶき一つ洩らさずに静まり返っている。

    『ふむ』

     反応の薄さに業を煮やしたギレスラが再び威嚇の炎を噴出させようと息を吸い込んだ時であった。

    「おっ、話が纏まったみたいだぞ、リーダーっぽいヤツ等のお出ましだ♪」

     満足そうに告げられたレイブの言葉通り、鬱蒼とした樹木の間からは虎顔と狼顔、ミロンとブロルの二体、隣接した小川の水辺には蛇顔、一際大きな樹木の幹からはゲッコー顔が同時に姿を顕したのである。

     その他の身を隠している数は百近くになるだろうか、それぞれのリーダーっぽい四者の動きとレイブ達、とりわけ初めて目にした赤い竜の動向を息を飲んで見守っているようだ。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ