メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1624.バアルの細腕繁盛記


     オーディエンスの皆さんは憶えておられるだろうか? あの頃、いやコユキ達と出会った頃のサタナキアのクズっぷりを……

     死を覚悟したコユキや善悪を前にしても往生際悪く足掻き捲ってオルクスに呆れられていた筈である。
     その後、アイドルのあるべき姿に目覚めて、少し偏り気味に魔神覚醒を果たす事が出来たが中々に芳しい、不愉快さと嫌悪感が上回る存在であった、間違いなくっ!

     ヴァンパイア達とのやり取りはそれより遥かに遡る、クズの中のクズ、自身の行動やドグマに一点の曇りも持た無かった十三世紀、そんな暗黒時代まで遡っているらしい話であった。

     場所は皆さんで言う所の中央ヨーロッパ、合唱で有名なモルダウ辺りでの事である。
     今迄の観察で既にご紹介の通り、当時のサタナキアはルキフェルに成り済ました状態を続け、出来もしない実務の殆ほとんどを、自身をルキフェルだと信じ込んで疑わぬ素直なバアルに任せっきりの、文字通りのクズ野郎だった頃である。

     その時分のバアルは、何故か次々と逐電してしまう古参の魔王とその軍団の補充に大層苦心していたそうだ。
     まあ、盟主たるルキフェル自体がバッタ物のサタナキア、偽者なのだから付き合いが長ければ長い者程、抱いた不信感は巨大だったのだろうな、判りみが深い。
     バアルは失った質を量で補う事にした、それが最も手っ取り早いと判断したからである。

     ご存知の通り、十三世紀、西暦千二百年代は人類にとって激動の時代であった。
     アジアでは前の世紀から勢力を伸ばしていたクメール王国がいよいよチャンパ王国の残党を掃討し、彼のアンコール王朝の基盤を整える事に成功した。

     最初バアルが新戦力の確保に赴いたのはこの地である。
     マナナンガルや以前の観察でご紹介したペナンガランを配下にし不死としたのもこの時なのだ。
     そもそも自分自身が不死なだけでなく、分別なく死霊を悪魔へと昇華させ操り捲るバアルの冒険は鼻歌混じりでユーラシア大陸中を席巻する事となった、はた迷惑な話である。

     旅は中原から中央アジア、東欧を経て、未だ自分への信仰が色濃く残っていた地中海、中東へと進んで行った。
     途中途中で死んでも死に切れない無念の想念を持った魂を眷族にしつつ、地域ごとの紛争に介入しては有ろう事か両陣営に甘い言葉を囁き続けたのである。

    『力が欲しいか?』

     そう、悪魔達が好んで口にする例の言葉だ。

     一般的には魂を対価にしての契約、つまり契約した者は約定が果たされた時に魂を奪われてしまう……
     そんな風に思われたりする事もあるみたいだがそれは曲解である。
     冷静に考えればどれ程強烈な望みであれ、自己を消滅させてまで叶えたいと熱望する者が稀である事はご理解頂けると思う。

     それは悪魔側から見れば契約の対象者が中々いない、言い換えればご成約者様、いや見込み客すら少な過ぎる状態、閑古鳥が鳴き捲るだけの開店休業状態に他ならないのだ。
     それでは倒産、潰れてしまう、本末転倒も良い所である。

     と言う事で前述の魂云々の解釈はもっと現実的、別の表現ではお求め易く適正価格を旨としている訳だ。
     具体的には改宗、事が成った暁には自分を神として崇めてね、勿論、成功報酬、引渡し後の後払いで構わないからさっ、てな按配なのである。
     いかがだろうか、結構お買い求め易くなったのでは無いだろうか?



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ