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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1731.夜会


     そして九年、カイムから齎もたらされたバアル来訪の報せを共有したサタナキアとヨハンは夜が更け、使用人達が寝静まる時間を待って仲間達を集結させたのである。
     場所は屋敷の脇の馬場に面した厩うまやの中だ。

     サタン、ヨハン、カイム以外に執事のセバスチャンとゼッセルマン、兵士長のケリン、牢番をやっていた兄妹、それにやけに巨体で立派な漆黒の馬が、暗い厩の中で顔を寄せ合ってボソボソ言葉を交わす。

    「カイム、バアルが来るのは間違い無いのよね?」

    「うん、昨日焚き火に当たってる時に火傷したんだよ、そしたら見えた、滅茶苦茶怒ってたよ? うん、間違い無いポロポ」

    「うわあ」

     暗がりの中、自らが発するオーラで薄っすら光っているセバスチャンが割り込む。

    「でも弟さんなんですよね? ルキフェ、我が君の」

     うっかり名前を口にしそうになった所をカイムにつつかれて言い直すとは、嘘吐き二柱の作戦は功を奏しているらしい。
     サタナキアは嫌そうに顔を歪ませて答える。

    「まあね、だけどアイツシャレとか通じないのよねー、融通が利かないってーの? ヨハンには言ったんだけどさ、アタシが魔界から出てフラフラしてる事には怒ると思うわね」

     牢番妹が口を挟む。

    「兄弟喧嘩、的な感じですか?」

    「位階第二位の魔神よ? 少なくとも人は死ぬわね、下手したら街ごと消滅とかのレベルよ」

    「前科があるポロよ…… ソドムとかゴモラ、ポロ」

    「うわあ」

     十年前までの冒険の旅(後半)ですっかり武闘派にクラスチェンジしたゼッセルマンとケリンはオーラを漲みなぎらせて続く。

    「弟の癖にしゃらくさいっ! やってやりましょうよ、ルキ、我が君」

    「そうですね、先手を打てば負けないんじゃないですか? ほら、我が君は位階一位、なんですよね?」

    「えっ! アタシがやるの? ば、バアルと? 嫌よっ!」

    「えー何でです?」

    「何ででもよっ!」

    「勝てますよ?」

    「嫌ったら嫌っ! 絶対嫌よっ!」

     そりゃそうだ、バッタモンじゃ瞬殺されるだろうからな……
     同じ兄として牢番兄が二人を嗜たしなめる。

    「兄妹の絆ってのはそう言うもんなんだよ、俺だって妹と戦うなんてゴメンだからな」

    「お兄ちゃん……」

     良い感じの勘違いでサタンは救われた。

    「じゃあ謝ったら駄目なんですか? 誠心誠意謝意を伝えればバアルの怒りも収まるのでは?」

     至極当然、悪かったら謝るべき、そんな人間として当然の事を口にしたのは立派な黒馬である。
     サタナキアは少し俯き加減で返す。

    「い、嫌よ……」

    「なっ! 何でですかっ?」

    「何ででもよっ!」

     どうせ格好悪いとか今後の自由が無くなるとかの理由だろう、悪には自業自得とか信賞必罰とか無関係なのだ、なにせ悪だから。

    「はは、兄貴ってーのはそんなもんなんだよ、俺だって素直に妹に謝れない事が一つや二つじゃ無いんだからさっ」

    「お兄ちゃん?」

     再び良い? 感じの勘違いで救われたサタン、運の良い野郎だぜ。

    「闘いも謝罪もしない、ですか? では我が君、どうされるのでしょうか?」

     最後の声は全員が寄せた顔の遥か下方、足元から発せられた。
     サタナキアは答える。

    「そうねぇ、やっぱ逃げるしか無いかなぁ」

     全員が声を揃える。

    「「「「「「「逃げる? どこへです?」」」」」」」

    「魔界! 帰るんだよ! 皆はどーする?」

    「「「「「「「っ!」」」」」」」



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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