メインコンテンツへスキップ
見出し画像

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
    18.オウム返し

    はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

    「そ、それで、コユキ殿、小生に用事なのであろ?」

     誤魔化すように言った善悪だったが、コユキもこの空気は嫌だったので、話しを変える事に否は無い。

    「う、うん…… あのさ、善悪、嘘じゃないから、ちゃんと聞いてくれる?」

     いつになく真剣な表情で、と言っても脂肪に覆われた顔は、いつもとあまり変わりないように見える。
     しかし、コユキは真剣であったし、善悪にはどうやら僅かわずかな表情の違いが判るらしい。

    さすが幼馴染である。

     コユキは鼻息も呼吸も荒く唾液(飛沫)を座卓に飛ばしながら、ほんの数時間前に自身と家族に起きた惨劇を一息に語った。
     お巡りさんとのやりとりは敢えて黙っている事にしていた。

    「――――という訳なんだけど…… ふぅ、善悪、取り敢えず○ルピスおかわり」

    ――――話したら少し落ちついたような気がしたけれど、本当に善悪に話してなんとかなるのかな? そもそもこんな突拍子もない話、いくら善悪でも……

    と、善悪の顔を見るコユキ。

     善悪は目をつぶり、先程痛めた顎の前に手を掲げ真剣に考えている様子だった。

    「ふむふむふむ…… そろそろだと思っていたのでござる……」

     コユキは善悪の言った言葉の意味がよく分からなかったのと、おかわりのカ○ピスを軽く無視されたことにイラッとしていた。

     だが、善悪はそのまま話し続ける。

    「コユキ殿は『カタストロフィー』というものをご存知かな?」

    「……かたす ……ナニ?」

     コユキは思考がまったく追いつかない。

    「一斉に溢れ出すのさ、闇が…… 暴風を伴った闇がね……」

     かたすなんちゃらや闇云々うんぬんはともかく、善悪のキメ顔にイラッとするコユキだった。
     喉も渇いたし、またお腹も空いてきた。そんな自分にもイライラした。

     しかし、どうやら大事な話らしいし、家族の命に関わることであろうから、珍しくコユキは、善悪にその苛立ちをぶつけることを我慢していた。

    「……何? それ」

    「悪魔だ」

    「あ・く・ま?」

     確かに、コユキも悪魔っぽいとは思っていた。

    「コユキ殿の言う『ヤギ頭』は『バフォメット』でござる(適当)」

    「ばふぉめっと?」

     先程からただオウム返しのコユキである。
     話の内容より、『こんな時に』と思いつつも、自身の空きっ腹がどうしても気になるのである。

     我慢は無限にできるが、時間は有限だ。
     この世に生きとし生けるもの全てに平等なのが時間である。
     その限られた時間の中、コユキは常に何か食べていたいし、胃袋に少しでもスペースができれば、その隙間を即座に埋め、満腹状態にしたいのだ。

     一方の善悪は善悪で幼少期から悪魔と言う存在が身近に存在していた事実を思い出し、その事でコユキの空腹具合にまで気が回っていなかったのである。


     実の所、少年時代から寺の内外で彼には友達と呼べる四体の悪魔たちが、確かに存在していたのである。
     時に優しく声を掛けてくれ、時に小さな冒険を共にしてきた半透明の彼らは、善悪曰くパパン、清濁キヨオミが寺を離れた後、突然消え去ってしまい、以来声や気配すら感じさせてくれてはいなかった。

     長い事会っていない四体の悪魔を思い出し、おセンチになってしまいそうな気持ちを振り払う様に首を左右に振って、目の前の幼馴染が持ち込んだ悪魔っぽい話に集中する事に決めた善悪は、会話を続けるのであった。


    「天使と悪魔…… 聖邪の争い…… コユキ殿は旧約聖書はご存知かな?」

    「……それくらいわかるよ ……仮面ライダ○とショッカ○みたいな?」

     よく分かっていないようである。

    「うむ、まぁ、コユキ殿が仮面○イダーで、群がる敵即ち悪魔が○ョッカーでござる(適当)」

    「……はぁ?」

    ***********************
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

    画像1


    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ