メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1273.宇宙


     ちょっと聞くだけで馬鹿みたい、そう思うレイブのなんちゃって職人気取りだが、意外にもギレスラには何か思いついた所があったようだ。

    『情熱、か…… なるほどな……』

     呟いて考え込んでしまったギレスラにぺトラは心配そうに声を掛ける。

    『ギレスラお兄ちゃん? だ、大丈夫なの? 宇宙とかはもう無しだよ?』

    『ああ、大丈夫だ…… 但し我々は全て宇宙と一体だ、無しには出来ん! にしても…… 良しっ! ぺトラ、空の魔石をそこの床に置いてみてくれ! 試してみようではないか!』

    『う、うん、ここに置くわよ、んでも試すってぇ、何をするの?』

     ギレスラは大きく息を吸い込みながら、ここまで伏し目がちだった瞳を瞠って答える。

    『宇宙の一部、ドラゴンとしての情熱を込めてみるのさっ! 喰らえっ、ドラゴンの息吹っ、バーニングブレスゥっ!』

     ゴウッっとした音と共にギレスラの口から放出された高温ブレスはぺトラが床に置いた空魔石を直撃した。

    『うわぁ、熱っ!』

     ぺトラが慌てた声と共に避難したのも無理は無い、何しろブレスを受けた魔石周辺の床石はあっと言う間に熱せられて煌々と赤光を発し始めたのだ。
     いま少し逃げるのが遅かったら、こんがりポークの出来上がり、晩御飯にジョブチェンジせざるを得ない事態だったのだ。
     無論、頭がおかしい状態のレイブも早々と射線上から身を躱し、安全そうな位置で再び正座を始めていた、抜かりない。

     黒曜石と見られる床石は順調に融点に近付いているようで、赤い発光は更に眩しさを増している。
     ぺトラは目を細めながら観察した結果をギレスラに伝える。

    『ギレスラお兄ちゃん! 床の石と室温は鰻登りなんだけど肝心の魔石に変化はないわよっ! 一旦中断しましょうよ! 熱いしっ! 息だって続かないでしょうっ?』

    『なんのまだまだぁーっ! マルチブレス、名付けてっ『焦熱地獄(ムスペルヘイム)』っ!』

     ぺトラの制止の声に、ギレスラはブレスを止める所か益々灼熱の息吹を強めてしまった。
     言葉通り? マルチなブレスなのだろう、全身の赤鱗を濃淡に目まぐるしく明滅させて、竜の中でも独特な二本の尖角から光線状の波動まで追加して放出し始めたではないか。

     光線は口から吐き出されていた炎と混ざり合って顕著な変化を見せた。
     それまで激しい炎の息吹が轟々と音を響かせていた物が一変したのである。

     光線が触れた場所から先では、音はチリチリとした空気中の塵を昇華させている様な物へと変わり、息吹自体の色彩も、暖色系の炎と判り易いものから青み掛かった色からやがて無色透明へ、より高温を顕す姿になって行くのであった。

     凶悪な熱の奔流は狙いを過たずに魔石に向かって直進し直撃を果たす。
     炎と呼ぶより熱線と言った方がしっくりくる凶暴なブレスは、魔石を障壁として周囲にその熱量を撒き散らしている。

     見た目だけでなく実際の温度も桁違いなのだろう。
     先程までの炎のブレスで赤光を放っていた床の黒曜石から、ドロリとした赤い液体が溶け出していった。
     恐らく含まれているガラス質の融点、八百度を容易に超えたのだろう。

     残った岩石部分にも引き続いて変化が起きていた。
     ガラス質を失った石は少しの時間を経て再び赤光を発し始め、直後、先程溶け出したガラス質よりも更に濃密そうな液体、正しくマグマへと姿を変える。

     温度的には摂氏千度を超えているのではなかろうか?

     となれば並べて敷き詰められている他の床石とても無事では済まない。
     隣接した場所から次々と、ガラス質を失し、岩石の融点を超え、室内に充満した湿気によって溶融スラグと化し、凶悪な赤い輝きを放つマグマを増やし続け始めたのである。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ