メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1200.パーシステンス


     私の疑問はいつも通り届く事無く、直情的が売りだとでも思っているレイブは出口に向かう足を止めて、勝手にヘルムを外してグフトマに対して叫ぶのであった。

    「太師匠、これをっ!」

    「え、あ? お、おお?」

     先程渡したばかりだと言うのに、有無を言わさず投げ返されてきた黒いヘルム。
     条件反射的に受け取ったそれを流れのままに頭に被せようと試みるグフトマ。

     ゴッ! ゴリゴリゴリ!

     当然の如く突き出した角に阻まれて嫌な音を響かせるヘルム、そして急速に狼狽を増すグフトマ。
     阻止された事が冷静な判断を誤らせたのだろう、被れない、ならばどうすれば被れるのか? そんなパーシステンスに囚われた彼が選んだ愚行とは……
     角の消去、つまり鋼体術の解除であった。

    「良しっ! これで被る事が出来、うわあっ!」

     鋼体術が解かれ金属感が失われた瞬間を逃さずに襲い掛かるゴブリンの群れ。
     手にしたヘルムを被る間も得られずに慌てて再びの鋼体術を始めるグフトマ。
     手足の一部に噛み付いたままの数頭は差し込んだ牙が抜けずにバタバタと暴れ続けている。

     この隙に出口まで辿り着いたレイブはホブゴブリン達の背に守られながら、親愛なる太師匠にアドヴァイスを送ったのである。

    「太師匠っ! 早く被らないとっ!」

    「お? おおっ、そ、そうか?」

    「急いでっ!」

    「わ、判ったっ!」

     レイブのアドヴァイスに従って、グフトマは再度、前回よりも数段力を込めてヘルムを自分の頭に被せようと試みたのだが……

     ガキッ! パカッ カランカラン……

    「あ、あう……」

     勢い良く十二本の角に衝突した黒いヘルム、実は漆塗りのお椀は真っ二つに割れて地面を転がるのであった。

     勘の良い、若しくは記憶力に長けたオーディエンスの方々ならばもう既にお気付きだろう。
     この黒いヘルムの正体は『一寸法師の針』のお椀であり、一時は千里の天神さんで猫の餌椀として活躍した、れっきとしたアーティファクトなのである。
     かつて魔神バアルとの対決に於いて、聖魔騎士善悪のおつむを守った逸品が、今召されてしまったのである。

     恐らく、食欲に支配されたゴブリンの世話をする為に、敵意を持った相手に針で刺された痛みを与える事で牽制できるこのアイテムが使われていたのだろう。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ