メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1545.I will be back


    「おいグログロお前戻ってくるってぇ、何でだ?」

     レイブの問いは至極真っ当だ、最近では珍しいかも知れない、所謂いわゆるレアケースだ。

    『私自身思いがけぬ事ではございましたが、何と申しましょうか…… 運命の悪戯いたずら? いや運命の女神が目の前に現れて微笑んでくれたお蔭? とでも申しましょうか? いや、面目次第もございません、あっはははは! この様な仕儀と相成りましたうえは、直ちにサリトへと立ち戻りまして、我が主シンディに事の一切を説明しまして、然しかる後、改めてこちらに推参いたしたく…… 左様に愚考しておりますがお師匠様たちのお許しを頂けますでしょうか?』

     ってかお前、話し方……

     既に舌足らずの痕跡さえ消し去ったグログロの口上に戸惑わなかったら、師匠としてとかなんとか以前に、個々の正常さすら疑われるレベルの事態にボーっとしている程馬鹿ではなかったスリーマンセルは口々に言う。

    『いやお前、シンディの獣奴を辞めるって事か? 命の恩人だろうが?』  

    『仕方なき仕儀ゆえ』

    『ねえ、でちは?』

    「お前が決めたんなら俺等は何もいわないけどな、だけどあっちでもう一度シンディと良く話し合ってからにしろよ」

    『既に決意は揺らぎませんがお師匠様が仰るのでしたらその様に致します』

    「ああ、その方が良いだろうな」

    『後悔先に立たず、覆水盆に返らず、とも言うからな、先々悔やまぬ様に精々心を砕けよ』

    『ははっ』

    『でちは? でつも!』

    『コユキ腐ればノンケに戻れぬ、とかも言うな』

    「善悪のフィギュア二度買い、なんて言い方もあるぞ」

    『恐れ入ります』

    『ねえ、良いの? もうグログロのでちやでつは良いのね?』

    『すみませんペトラ師匠…… 私は既に大人、いえ男になったのでございます』

    『ふーん…… ま、良いわ、ちょっとわざとらしかったし』

    『恐縮です』

     こうして何かを勝手に決意したクズリのグログロは、かつて命を救ってくれた自身の飼い主、シンディとの決別を胸に秘め、与えられた食料をたっぷり背負うとさっさと元来た道を帰り始めるのであった。
     途中まで送って行くと言い張って聞かないシュカーラを連れて歩み去るその後姿には凛とした勇気が見て取れた物だ。

     暫しばらく進んだ湿地の先で足を止めたグログロはシュカーラに対して言葉を掛ける。

    『ここまでで良いでちよチュカーラ、グログロが帰って来るまでちっかり見張りを頼むのでち』

    「あ、はい! あれですよね? ガトさんに変な虫がつかない様に、とかですか?」

    『それもありまつけど一番はお師匠様達の事でつよ』

    「へ? レイブさん達、いや師匠達ですか! 何かありましたっけ?」

     驚くシュカーラに少し呆れ顔と苦笑を浮かべたグログロは答える。

    『お三方とも『馬鹿』でつよ…… 恐らくシパイ師伯が懸念ちていた通り、コインを吸収ちた事が原因だと思われるのでち……』

    「ええっ!」

    『だからなるべく近くにいて見張って欲ちいのでち、ちょれでオーラに異変があったらガト様やこっちの幹部と図って対処たいちょちて下ちゃいね』

    「は、はい、判りました」(ゴクリ)

    『なるべく早く戻るでち』

     そう言い置くと、短い手足を這う様に動かして振り返る事もせず遠ざかるグログロ。
     残されたシュカーラは一瞬だけ決意を込めた視線を浮かべたが、直ぐにいつもの表情を取り戻し、小走りに群れに向かって戻り始めた。

     群れの最後尾、追放もとい隔離エリアからは、ガトとスリーマンセルが飽きもせず罵り合う楽しそうな声が再開されて響き始めていた。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ