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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1330.呼び声


     そのままの姿勢を保ちながら、横目でこちらを見つめるペジオ。
     普段から無口で寡黙、ましてや上顎の四本、下顎に二本の計六本、全ての前歯を使って必死に延命中なのである。
     当然声を発してはいないのだが、その時の私にははっきりとしたメッセージが届いて来たのである。

    『あら、ダダ坊、こんな川が怖いのかしら?』

    「違うよね? アンタはその先に待ち受けているかもしれない事が恐しいんじゃないの? ははは」

    「未来に何が起こるか、か? そんな不確かな物を恐れるとは……」

    『いや、不確かだからこそ用心するのだよ、ダダ坊は慎重だからな、何事にも』

    『慎重ね、でも結局渡るしかないんでしょ? この川』

    「だろうね、今更戻ってハタンガの皆にどんな顔するのさ? ダダ坊、みっともないよ?」

    「ならば恐怖を押し殺してでも渡るしかないだろう、文字通り猪突猛進だな」

    『ほらほら、考えてる間にペジオに先を越されちゃったよ、どうする? ダダ坊?』

    『「「『後ろを付いてくれば安全だよ、恐いのならそうしなよ』」」』

    『ブフォーッ! 私は『突撃アサルト新生児ベイビー』っ! 何者も私を止める事など出来ないぃーっ! 特攻ーっ!』

     脳内のパーティーメンバーが、っぽい事を言い終えるのを待たずに、私は叫びながら荒れ狂う激流に身を投じていた。

     嵩は想像していたよりも随分深く、私の胴体の半ば近くまで達していたが、幸い四肢は川底から浮き上がる事無く突進の勢いは維持されている。
     とは言え、上流から叩きつけ続ける水流は私の体を徐々に下流に向けさせたのである。
     内心に僅わずかでない焦りを生じつつも、私の目は先に見える対岸から離れる事はなかった。

    『負けるかぁー! 猪突猛進ーんーっ!』

     再び雄叫びを上げた私は全身の力と言う力を振り絞って川底を蹴り続けた。
     途中でそこそこのでかさの岩か何かにぶつかった気がするが、既にこの時の私を止める事など出来はしない、牙と接触した障害物は粉々に砕け散ったのである。

     破壊の勢いそのままに突進を続けた私は、気が付いた時には対岸で大きく吠えていた。
     声にならない叫びは仲間達に向けて、私自身の克己心こっきしんと今後の覚悟を告げる物だったのだ。

     不思議な物で、自分の出した大声は、私に勇気と覇気を思い出させたのだった。
     幼い頃から夢にまで見て憧れた玉座に登り、他なら無い極東ニンゲンを慈しみ護る役柄への期待と高揚感は、それまで感じていた臆病な気持ちを吹き飛ばしてくれたのである。

     仲間達の幻は、かつて恐れの欠片かけらも見せずに大陸を彷徨さまよった私の、蛮勇めいた積極性を思い出させてくれたのだ。
     いや、若もしかすると自分自身の中で、ら・し・く・無・い・私自身の目を覚まさせる為に見させた姿だったのかもしれないな……



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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