メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1191.夜勤明け


    「ふわぁ~あ~、眠……」

     大欠伸おおあくびを吐いたレイブの目はアラビア数字の三番目、むつかしく言うと3である。
     自業自得とは言え、結局昨夜は一睡もせず草の山を片付け続けていたのである、さぞや眠たい事であろう。

     如何に学院で化け物扱いされているレイブの腕力を持ってしても、周囲で眠っているグフトマ達を起こさない様にコソコソしながらの証拠隠滅は、殊の他時間と神経を使う作業だったのだ。

     汚れた草(自分のせい)を少量づつ雪隠せっちんの穴に何十往復もして運び、途中で物音や気配を感じた時(罪の意識で過敏気味)はその場に臥して寝惚けた振りを繰り返した。
     因果応報、良い気味といえばそれまでなのだが……

     元来真面目な性格ゆえか、片付けた後の地面を泉の水で何度も洗い流し、最終的には鼻を近づけてクンカクンカしていた姿には、観察していると何故かそこはかとない悲哀を感じたりもした。
     そんな事が気になるなら汚物を捨てる前にもう少し慎重になれば良いのに…… 仕方が無い、いつも通りこちらの声は届かないのだ…… 無力を感じる。

     床がスッカリ綺麗になった所でレイブはワタワタし始めた、うろたえ方が半端じゃない。

    ――――やべぇ、綺麗にはしたけど草が…… 取りに行くにも道が判らんぞ…… どうするんだこれ?

     …………迂闊過ぎるだろ レイブよ。

     オロオロしながら周囲を見回していたが、薄暗い穴の中に草の類が自生している筈も無く、やがてウロウロと意味無く歩き周りはじめ両の手足も所在無さげに無駄な動作をし始めるのであった。
     顔面蒼白で冷や汗に塗れたまま訳の判らぬ踊り的な事を続けていると、今一番聞きたくなかったであろう声が掛けられるのである。

    「お、早いな! 朝稽古かな? 感心感心!」

    「ヒグッ!」

     今生で初めての酒精が良い方向に効いたのだろう、昨夜よりすっきりとした爽やかな声を掛けたグフトマの登場に、レイブは喉の奥から変な音を響かせたのみで言葉を返せずに居る。
     気管に唾でも詰まらせたのか、その後の挨拶も酷い有様だ。

    「ヒュッ、太師匠ヒュッ! おはよヒュッ、うございまヒュッ」

    「ああ、おはよう! どれ少し見てやろうか」

    「ヒュッ? な、何をでヒュッ?」
     
    「何って稽古だろ? 型を見てやるからやってみろって♪」

     レイブの体に正対しているからであろう、グフトマからは消え去った草の山は見えていないらしい。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

    Copyright(C)2019-KEY-STU

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ