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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1629.災厄降臨


     何に対してかは一切理解出来ないが、テヘテヘしているディザスターガトにレイブは聞く。

    「それで? 手下集めは諦めて帰ったのか? 人が逃げちゃったんなら仕方無いもんな」

     ガトはわざとらしく横出ししていたベロを戻して真剣な表情に戻して答える、色々計算高さを感じざるを得ない。

    「アタシってかサタナキアもそう思ってたんだけどね、正直飽きてきてたし…… でもそこに現れたのが、あの、カーミラだったのよ」

    「『『ほぅ』』」

     スリーマンセル揃って身を乗り出した事で、ガトは機嫌良く話の要旨ようしを語り出したのである。
     カーミラが来た、と言ったが正確には次に来たのは完全武装の兵士を率いた貴族然とした若者だったらしい。

    「ブランデンブルク家のヨハンだったわ、確か」

    「ブルラ…… ほぅ」

     レイブは聞き取れなかったらしいが、あの辺りであの時代、ブランデンブルクのヨハンとくれば有名な錬金術伯、所謂いわゆるクルムバッハ辺境伯の事であろう。

     因みにだが、この辺境伯中々の変わり者だった様で、政治や権力、勿論家督や序列なんかに一切執着を持たず、只々大好きな錬金術の研究に精を出し続けたマニアさん的なお貴族様だったと伝えられている。
     恵まれた血筋と環境を活かさず趣味や好事にうつつを抜かした駄目貴族、そんな謗そしりも囁かれはするが、子煩悩で愛妻家、どこか憎めない所があり領民からも結構愛されたりもしていたらしい。

     老いても若々しくとてつもない美男だったとも伝えられている。
     ボヘミア王国の長子、王子様でもある。

     まだ廃嫡前の若きヨハン王子様は震える声でサタンに聞いたそうだ、お前は何者だ、と。
     数日間の略奪で村中の食料を食い尽くしたサタンは蔵の中から探し出したヨーグルトの壷から頭を上げ、ビチョビチョに汚れ捲った口で答えたそうだ。

    「アタシ? えっと何だったかな? 確か…… マリス? そう、マリス・ステラだったわね」

     マリス・ステラって聖母マリアじゃん…… バアルの無分別ここに極まれりだな…… ああ、それで茶色のスカプラリオなのか、納得したよ。
     いや待てよ、構図的にはその泥人形がスーパースターなあの御子かよ? 酷い完成度だな……

     急激にざわめき出した兵士達を嗜たしなめもせずヨハン王子は問いを重ねたと言う。
     曰く、神の母よ、貴女は何歳なのですか、だそうだ。

     サタンにはバアルの依り代が何歳なのかについて一切の知識が無かったので、取り敢えずお茶を濁す事にした様である。

    「えっとぉ、幾つに見える?」

     面倒臭い女性かよ…… それ立場と時代によってはパワハラだからね、気を付けた方が良いだろう。
     一般的には見た目より若めに答える向きが多い様だが、ヨハンはオリジナルで返したらしい。

    「えっと、少なくとも千四百歳以上って事になるのかな?」

     勇気があり過ぎる、伝承通り正直者だったらしいな。
     サタンにとっては渡りに船だった、笑顔で返事だ。

    「そう見えたんならそうなんでしょ」

    だそうだ。

     確かにイエスの聖母だったらそれ位になるだろうけど、もうソレ只の人間じゃない宣言だよね。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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