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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

    あらすじ・目次 


    第三部 六章

    リベルタドーレス ~解放者たち~

    1689.ティリアンパープル


     ハミルカルと言う名は『メルカルトの僕しもべ』、ハ+メルカルトの意、メルカルトはご存知の通りバアルの別名である。

     昔バアルが海岸で犬の散歩をしている時に、ペットのワンちゃん(大口の真神・クチシロである)がアッキガイをガジガジやったらしい。
     暫しばらくして太陽に曝されたクチシロの顔は紫色に染まってしまい、それを見たバアルは大笑いした後、これ面白いよ♪ 位のノリでフェニキア人たちに教え、その染め物の交易で莫大な富を得た信徒達は大国カルタゴを建てると言った按配でバアル信仰は不動となるのだ。

     そこら辺の感謝が影響しているのか、巨大なカタツムリ(鋭利版)となったハミルカルはこちらも化け物っぽくなった声音を響かせる。

    『で、どんな罰をお与えになるのです? 我が君』

     蜘蛛と亡者のキメラっぽいご主人様、メルカルトのバアルは答える。

    『下賤げせんの穢けがれで玉座を侵した罪は重い、こうなった以上並大抵の罰は相応では無かろう…… ふうむ、妾が吸収して肉体も魂も粉々に分解するのはどうだ? アートマンは勿論、ブラフマンの一部としても未来永劫蘇れぬ様我が臓腑の内を永遠に彷徨わしてくれようではないか』

     ハスドルバルが慌てて告げる。

    「いやそれじゃ罰にならないじゃ無いですか! 死は只の状態、『待機』だっていつも仰っているでは無いですかっ!」

    『む、そうか? 死と消滅は少し違うと思うのだがな、うーん……』

     再び首を傾げて逡巡を見せるバアルに悟られぬ様、小さく安堵の息を吐くハスドルバル。
     どうやらこの期に及んでカーミラを助け出したいと思っているらしい。

     しかし、間を置く事無くカタツムリの親父が割り込んでくる。

    『では私が食って溶解させるのはどうです? 私の体液ならば肉体は跡形もなく消えますし、魂も元の個を失して生物とも無機物とも違う空ろな残滓ざんしだけになりますよ?』

    『ふむ、なるほど! それならば――――』

     ハスドルバルは大慌てだ。

    「いや親父殿! それはまずいですってっ!」

    『ん? 私なら味覚を消せるぞ? 好き嫌いとかも無いしな』

     多分だがそっちのマズいとは違うだろ。

    「いやそうじゃなくて、ほら! いつも我が君が仰っているではないですか! 信徒が信徒を罰する事の罪深さって奴ですよ! ねっ?」

    『私はバアル様だけを信じているのだがな…… まあ御兄上君に対する畏敬や尊崇も感じてはいるがな……』

    「ほらほらぁ、広義では同一の徒じゃないですかぁ、それを独断で処刑とかまずいでしょ? ルキフェル様に対して不敬なんじゃないですか?」

    『そうか?』

    「恐らく」

    『では一体どうすれば…… 我が君?』

    『うーん』

     ホッと胸を撫で下ろすハスドルバル。
     この間、判決を待つカーミラはフルフルしながら泣いているだけだ、下の水分は枯渇したらしい。



    お読みいただきありがとうございます。
    感謝! 感激! 感動! です('v')
    まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
    皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
    これからもよろしくお願い致します。
    拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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