
マッチョ華道(花束みたいに恋をしたい)【毎週ショートショートnote】
「花器からはみ出る豪快な枝ぶり!ヒマヤラ山脈っ!」
「無駄のない水分!見事な水揚げポンプっ!」
「幹が極太!活ける!イケてるぞ!」
コブシは生け花の品評会で絶賛を受けていた。拳をギュッと握りしめるコブシの姿を、カスミはそっと見守りながら思い出していた。
…
「見てくれよあの極太の幹。どう見ても肥満体だぜ」
「ほんと、品がないのよね」
コブシに聞こえるような声でキクとユリが陰口を叩いていた。肥満体質のコブシを手に取る華道家は少なかった。一時は窒素・リン・カリウムをヤケ喰いして、肥料焼けしたこともあった。
そんな辛い時期を支えたのが、カスミだった。カスミはコブシに寄り添って過剰な養分を吸収しながら励ました。
「あなたは鍛え上げれば力強い骨格になって、キクやユリにはない重厚感を出すことができるわ」
コブシは生まれ変わった。限界まで水分を絞り、無駄な枝葉を落とす『枝打ちトレーニング』を行った結果、華道家に活けてもらえるようになったのだ。
(410文字)
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