
9月は接吻してってば【アマノ文筆クラブ】
甘野充さんの企画に参加します。
俺の趣味は食べ歩きだ。営業一筋30年。あちこち外回りをしているが、考えているのはランチことばかりだ。
今日はピンと来たラーメン屋に飛び込んだ。最近お気に入りの鶏白湯が目に入ったからだ。タイミングよくカウンター席が空いていて、待つことなく座ることができた。
注文を済ませて、カウンター越しに麺を茹でる様子を眺めていた。
「9月は接吻してってば」
甘えるような声が聞こえた。どうやら隣の若いカップルの会話のようだ。まったく昼間っからなんてこと言ってんだと思いながらも、まだ付き合い始めでキスすらしていないのかと初々しくも思った。
でも、リクルートスーツを着てる男の方が言うか?
すると千円札を一枚置いた。ん?カップルじゃなかったのか?ビジネス的な関係なのか?もしかして、キスはオプションとかなのか?
でも、置いたのはガーリーな女の方だ。
男は千円もらってキスできるのか?いったい、どんなシステムなんだ?そうか、女の方が客だったのか!いや違う。「接吻してってば」と言ったのは男の方だった。
「お待たせしました」
「いや、接吻は頼んでませんっ!」
「はい?鶏白湯ラーメンできましたよ」
「あ、ああ。ありがとうございます」
すっかりカップルの会話に気を取られてしまった。カップルは席を立つとレジに向かった。
「サンキュー。助かるよ。就活中でバイト少なくて金欠なんだ。就職決まったらおごるからさ」
折半?
(おわり)
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