
モバイル北海道にいってみた 【 毎週ショートショートnote 】
夫に先立たれ、八十を過ぎた私は暇を持て余していた。
旅行は好きだが、国内旅行は大体行き尽くした。
とある日、新聞広告に「モバイル北海道」とあるのを見つけた。
日帰り、おやつ付き、三千円
「……怪しい」
それでも、ものは試しと、一人で申し込んだ。
指定された郊外のビルで待っていたのは、案内人の中年男性。
個室に椅子とVRゴーグルがあった。
「これをつけて北海道をお楽しみください」
まあ、そうよね……
少しがっかりしてゴーグルをつけた。
すると目の前には草原にキタキツネが現れた。
牧場に五稜郭、絶景の丘、広い大地。
おやつは白い恋人を雪山を見ながら食べた。
ラベンダー畑では香りが漂う演出を。
うっとりしたいい気分になり、
いつしか眠ってしまった。
目を覚ますと画面は真っ暗。
ゴーグルを外すと、暗い裏路地だった。
バッグがない。
「……やられた」
そのとき、ふわりラベンダーの香りがした。
「……?」
振り返る。
当然、そこにラベンダー畑など、あるはずはなかった。
田原にかさんの企画に初参加させていただきました。
よろしくお願いします😀