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衣装だんすから別世界へ——「ナルニア国ものがたり」とC・S・ルイスの世界を旅する

    こんにちは、きのころです。

    FPで、司書で、多趣味。
    そんな属性をパズルのように組み合わせながら、
    何があっても「生きのころー!」をテーマに、毎日noteを書いています。

    今日は、児童文学の、さらには幻想文学ファンタジーの世界に燦然と輝く、「ナルニア国ものがたり」と、その作者C・S・ルイスについてお話ししたいと思います。


    おとぎ話は最良の芸術

    C・S・ルイスは、
    「フェアリー・テールはときに、最良の芸術形式である」
    という言葉を残しています。

    フェアリー・テールは『Fairy(妖精)Tale(物語)』ですが、日本では、ドイツ語で『メルヘン(Marchen)』と称される童話やおとぎ話のこともそう呼ぶことが多いようです。

    子どものものと思われている童話、おとぎ話が「もっとも優れた芸術」だというのですから――
    驚くとともに、ちょっと嬉しい……のは私だけでしょうか。

    ただ、名言とは「どんな人が言ったか」ということも大きいですよね。

    では、C・S・ルイスとはどういう人だったのでしょう。

    「ルイス」といっても、『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』でおなじみのルイス・キャロルとは別人です。

    C・S・ルイスは、オックスフォード大学の教授として、英文学を講じていました。

    そこで、大学の同僚、J・R・R・トールキンとともに「インクリングス」というサークルを作ります。

    このサークルでトールキンが発表した『指輪物語』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』原作)に刺激を受け、「ナルニア国ものがたり」を執筆した、といわれています。

    ……英文学の専門家だったんですね。
    もう、この時点で、さっきの名言の価値、爆上がりです(笑)。

    しかも、大学の同僚にトールキンがいるって、これ、もう「歴史的な事件」でしょう。
    文学サークルを通じて切磋琢磨しあい、結果的に、この二人で現代ファンタジーの基本を作り上げてしまったわけです。

    「ナルニア国ものがたり」は、C・S・ルイスの代表作であるだけでなく、
    トールキンの『指輪物語』とともに、ファンタジー文学を代表する作品であり、児童文学全体を代表する作品となっています。

    ちなみに、「世界三大ファンタジー」とは、一般的に、
    ・J・R・R・トールキンの『指輪物語』
    ・C・S・ルイスの『ナルニア国物語』
    ・アーシュラ・K・ル=グウィンの『ゲド戦記』
    を指すと言われています。

    私としては、そろそろ、「ハリー・ポッター」を加えて、
    「世界四大ファンタジー」になっても良い頃だと思っています。
    ――それくらいの功績はあるのではないでしょうか。

    こうしてみると、ファンタジーも、広い意味では「フェアリー・テール」といえるかもしれません。

    「フェアリー・テールは最良の芸術」――

    あると思います。


    「ナルニア国ものがたり」

    「ナルニア国ものがたり」は、第1巻『ライオンと魔女』から第7巻『さいごの戦い』までの全7冊構成で、異世界=ナルニア国の興亡を描ききった、壮大なファンタジーです。

    最終巻以外、どの巻からでも読めるのですが、第1巻から順に読み進めて行く、というオーソドックスな読み方が、もっとも作品を楽しめるのではないか、と思います。
    (ちなみに、この順番は「物語の発表順」です。)

    しかし、読んだ人はわかるのですが、実は作中の「物語内時間」は、
    この順番通りには流れていないのです。

    ここで、物語内時間の順番通りにシリーズを再構成すると……

    最初にくるのが、ナルニア国の誕生を描く『魔術師のおい』(第6巻)。
    ふたりの子どもが見守る中、ライオンのアスランがナルニア国を創造する話です。
    この子どもというのが、実は後の○○で…(自粛)。

    この次が、「ナルニア第1巻」として名高い『ライオンと魔女』(第1巻)。
    ナルニア国に迷い込んだ4人の兄弟がライオンのアスランとともに、ナルニア国を救うために戦います。そして、4人の兄弟は「王」となって、ナルニア黄金時代を築きます。

    続いて、ナルニア国の全盛時代を描く『馬と少年』(第5巻)。
    これは、4人の兄弟がナルニア王として在位中(『ライオンと魔女』)の物語です。
    なんと、1巻と5巻がリンクしているという大胆な構成がイカしてます。

    お次は、再び4人の兄弟がナルニア国を甦らせる『カスピアン王子のつのぶえ』(第2巻)。
    4人の兄弟は、自分たちが治めていた時代から数百年後のナルニアに呼び戻され、ナルニアの正統な王族、カスピアンを助けてナルニア復活のために戦います。

    そして、そのカスピアン王が海の探検に出かける『朝びらき丸 東の海へ』(第3巻)。
    4人のうち下の2人とその従弟の、ハラハラドキドキ、波瀾万丈の物語です。大人になりかけた上の2人はナルニア国に行けないという設定が興味深いですね。

    それから、少女ジルが地下に捕らわれている王子を助けに行く『銀のいす』(第4巻)。
    前回の冒険の主人公であった従弟とその同級生が、カスピアン王の失踪した息子、リリアン王子を探す旅に出ます。

    そして、ついにナルニア国の滅びる『さいごの戦い』(第7巻)。
    これまでナルニアを訪れた子どもたちがすべて登場!
    ナルニアを守るための最後の戦いをくり広げます!!

    ……とまぁ、こんな感じなのですが、おわかりいただけましたでしょうか?

    ひと昔は岩波書店版しかなかったため、岩波書店の巻数の順、つまり、「物語の発表順」に読むのがごく当たり前でした。

    しかし、C・S・ルイスの著作権が切れたことで、いくつかの出版社から新訳本が刊行される中、「物語の時系列順」に並べ直して刊行する出版社も出てきました。

    物語の時系列順に並べた方がナルニア国の歴史を追いやすい、という考えもあるのかもしれませんが、私は、それでもやっぱり、第1巻から順番に読んだ方が、より楽しめると思います。

    それは、作者が、「その順番で読まれること」を想定して書いているからです。


    どういう順番で読むか問題

    たとえば……
    よく見る順番が問題になる『スター・ウォーズ』。

    これは、まず(従来の)いわゆる「3部作」を見てから、
    「エピソード1」に進むべきなのです。

    観客が「3部作」を見ていることを前提にしてお話を作っているから、です。

    従来の「3部作」に「エピソード4、5、6」というサブタイトルがついているので、よく知らない人は、先に「新しい方の3部作」(「エピソード1、2、3」)を見てしまいがちです。

    まぁ、「エピソード1」って書いてあったら、「こっちが先だろう」って普通に思いますよね。

    でも、「エピソード1」から『スターウォーズ』を見始めちゃった人は、おそらく、“正しい順番”で見た人の半分も楽しめないだろう、と思います。

    主人公は、ダース・ベイダー(敵)の正体も、姫の正体も、ヨーダ(ヨボヨボ)の偉大さも、まったく知らずに冒険を進めていく。
    観客も、一緒に悩み、一緒に驚き、一緒に「ウソだーーー!」という。

    あれは、そういう映画なんです……

    閑話休題。

    ……で、ナルニア国に話を戻しますと、個人的には、ナルニア体験は
    「屋根裏を探検 → タンスの中から別世界へ」
    から始まるのが理想です。

    このシーン、すっごく大事だと思うので。

    その後、数々のエピソードを交えながら、作品世界が時間的、空間的な広がりを見せつつ、ついに、ナルニア国の「エピソード1」が語られ、そして、怒濤のラスト・エピソード(フィナーレ)へ!

    ――やっぱり、素晴らしい構成だと思います。

    本でも映画でも、できる限り「出版順」・「発表順」に追っていった方が、より一層、物語を楽しめるのではないでしょうか。


    C・S・ルイス作品一覧

    さて、ナルニアと「読む順番」の話は十分に語ったので、このセクションでは、「ナルニア国ものがたり」を中心に、C・S・ルイス関連作品をまとめてみました。

    これからC・S・ルイス作品を楽しむ際の道しるべになれば幸いです。


    【1.ナルニア国ものがたり】

    昔ながらの岩波版が好きです。
    瀬田貞二さんの名訳に加え、ポーリン・ベインズの挿し絵も魅力的。

    ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり (岩波少年文庫)

    シリーズ全7巻。本文にも書きましたが、
    できればこの順番(シリーズの通し番号順/刊行順)に読んでほしいです。
    01:『ライオンと魔女』
    02:『カスピアン王子のつのぶえ』
    03:『朝びらき丸東の海へ』
    04:『銀のいす』
    05:『馬と少年』
    06:『魔術師のおい』
    07:『さいごの戦い』


    「豪華カラー版全集」もあります。


    【2.別世界物語】

    "Space Trilogy "、または、Cosmic Trilogy、"Ransom Trilogy " とも呼ばれる、C・S・ルイスの、もうひとつの代表作です。

    全3巻で、マラカンドラ(火星編)・ペレランドラ(金星編)・サルカンドラ(地球編)となっています。

    ちくま文庫、原書房から出ていましたが、現在は、グーテンベルク21の復刻版がkindleで読めます。

    01:『マラカンドラ/沈黙の惑星を離れて』

    02:『ペレランドラ/金星への旅』

    03:『サルカンドラ/かの忌わしき砦』


    【3.その他の小説】
    ややマニアックな領域です。

    『天国と地獄の離婚』(新教出版社)
    ウィリアム・ブレイク「天国と地獄の結婚」へのアンチテーゼとして書かれた、ルイスによる天国・地獄めぐり。

    『愛はあまりにも若く プシュケーとその姉』(みすず書房)
    ギリシャ神話「アモールとプシュケ」を元にしたファンタジー。


    【4.その他】
    超マニアック(笑)。
    ※リンク省略。タイトルのみ。

    『喜びのおとずれ:C・S・ルイス自叙伝』 (冨山房百科文庫)
    『別世界にて エッセー/物語/手紙』(みすず書房)
    『愛とアレゴリー:ヨーロッパ中世文学の伝統』(筑摩叢書)
    『廃棄された宇宙像:中世・ルネッサンスへのプロレゴーメナ』(八坂書房)

    他に、新教出版社から「C・S・ルイス宗教著作集」として
    全8巻(+別巻2冊)が刊行されています。
    (あくまで、ご参考まで)


    さて、ここまで、
    ナルニアとC・S・ルイスの世界を旅してきました。

    昔読んだ人も、初めて読む人も……

    衣装だんすの扉を、そっと開けてみてください。

    その向こうには、きっと――
    あなたのための別世界ナルニアが、待っています。


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    <小学生の頃の読書、児童文学への思いを綴った記事>

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    関西在住。1級FP、独立系司書。50代でFIREを達成し、 何があっても「この先、生きのころー!」をテーマに 自称「マルチ・ポテンシャライター」(多趣味ライター 的な造語)として活動。今まで読んだ5000冊以上の本 から生まれたアイデアをもとに、童心で楽しむ日常 や創作を発信中。

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