
“大切な仕事ほど、評価されていない”介護の矛盾を考える
※本記事は2024年4月13日付 読売新聞社説の内容をもとに構成しています。
2025年、団塊の世代がすべて75歳以上を迎え、日本は本格的な“超高齢社会”へと突入します。
当然、介護の需要はこれからさらに増える一方です。
にもかかわらず、現実は逆行しています。
2024年、訪問介護事業者の倒産・廃業は過去最多の529社に達しました(※読売新聞より)。
特に地方の事業所では、人材確保ができず、燃料費などの負担が経営を圧迫し、撤退せざるを得ない状況が広がっています。
そこに追い打ちをかけたのが、昨年の訪問介護の報酬引き下げ。
訪問入浴など一部のサービスにおいて、報酬が減額されました。
理由は「都市部の事業者は経営が安定しているから」。
しかし、これは地方との格差を無視した施策でした。
外国人を雇う前に、日本人が働きたいと思える職場環境を
今年4月から、外国人技能実習生や特定技能外国人が、訪問介護に従事できるようになりました。
これは人材不足への対策の一つとされていますが、本質的な解決にはなりません。
なぜなら、日本人ですら定着できない職場環境のままでは、外国人もすぐに辞めてしまうからです。
介護職員の平均月給は約30万円。これは全産業平均より6万円以上も低い水準です。
にもかかわらず、仕事の内容は重労働であり、精神的な負担も非常に大きい。
訪問介護の現場では、1日に何十キロも移動しながら、時間に追われて働くことも珍しくありません。
「人の命や生活を支える重責を担っているのに、生活が苦しい」
そんな職場を、誰が選びたいと思うでしょうか?
事業者の安定と、職員の生活の安定はセットで考えるべき
介護の現場が維持されるには、事業者の経営が成り立つことが前提です。
そしてそのためには、現場で働く人の処遇改善と給与の底上げが不可欠です。
それができて初めて、「この仕事を続けたい」「誇りを持って働きたい」と思える人が増えていく。
つまり、一時的な外国人導入ではなく、恒久的な人材確保が可能になるのです。
国は今年、処遇改善加算を拡充しましたが、それだけで全ての事業者が救われるわけではありません。
特に中小の訪問介護事業所では、加算を取得するための人員配置や制度整備が難しく、加算があっても実際には待遇改善に繋がらないケースも多いのが実情です。
給与水準を引き上げる。それがもっとも確実な人材対策
日本の高齢者を支える現場が崩れてしまえば、次に困るのは私たち自身です。
介護職を「安い労働力」でまかなう発想は、持続可能ではありません。
外国人に頼る前に、日本人が「ここで働き続けたい」と思える賃金と職場環境を整えるべきだ。
物価高が続き、生活に不安を感じる人が増えている今、
「介護報酬だけ下げる」という政策判断がどれだけ現場を冷やしたか——
今からでも、その誤りを見直すべきです。
介護は、社会を支えるインフラです。
そこに真っ先に資源を注ぐ判断ができるかどうか。
それが、未来の日本の姿を決めることになるのではないでしょうか。
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