
全てが記録されている四人組 ザ・ビートルズ・アンソロジー
ビートルズはすべてが記録されている。
幼い頃の本人や、生き別れた親の写真。学生時代のライブ風景や、無名時代の演奏テープ、初訪米時に至っては移動中の乗用車の内部までフィルムに残っている。
すべてが語られていて、生い立ちはもちろん、育ての親のコメント、学生時代の友人の思い出など、自伝や評伝、暴露本などで、マニアは本人以上にビートルズのことを知ることができるのではないか。今さら新たな発見などあろうはずがない。

この『ザ・ビートルズ・アンソロジー』にしても、いつかどこかで読んだエピソードがほとんどだ。それでもこの本に価値があるのは、すべてビートルズのメンバーが語った言葉だということ(マネージャーや広報担当のコメントも含む)。
ビートルズの歴史を、いい加減な関係者の暴露やファンの思い出などでなく、本人の言葉で網羅した1冊。自伝やインタビューで点在していたコメントを、時系列順に並べてまとめた便利な百科事典と思えばいいだろう。
特にマネージャーで変死したブライアン・エプスタインや、メンバーごとに考え方の異なる解散の経緯の全体像が浮かび上がる点では便利。ビートルズであろうとしたポールと、自分であろうとしたジョンやジョージとの違いもよくわかった。
ビジネス上のトラブルなどでバラバラになってしまったメンバーが、それでも『アビーロード』録音に臨むところは泣きそうになった。
しかし、解散時、最年長のジョンでさえ30歳そこそこ。60年代的ナイーブさを持ち合わせられるだけの若さと、それを実現するだけの財力が同居していたからこそ、ビートルズはあの時代を作り上げることができたんだなと痛感。
全ページに写真や資料がきれいにレイアウトされていて、ほんと読みごたえあります。