
詩がある
とある太った朝、エリック・ハーブルのあたまに太った男が生えてきた。
One fat morning
「なんてこった」エリックはとてもとても驚いた。
「スカブと呼んで」
「わかった。ぼくはエリック」
「よろしく」
エリックはあたまに生えたスカブと友だちになった。
以来、エリックのあたまの上にはどんどん大きくなるスカブがいつも生えていた。
校長は言った。「そんな不具者にうちの大事な生徒を任せるわけにはいかん!」
エリックは失業した。
身体が思うように動かせない障害を持つ人々に、ダンスを教える仕事。
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これは、ジョン・レノンの最初の本『In His Own Write』にある短編『The Fat Growth on Eric Hearble』。

ポールが序文を寄せている。
1964年出版。ぼくは1986年に当時旭化成のしごとで赴任していた広島の丸善で買った。
その頃のぼくの英語力では歯が立たず、そのまま放置していたようなんだけど、自宅であまりにもヒマなため(愛用のMacBookAirがOSアップデートで時間かかるのだ)、詩集はないものかとゴソゴソしてたら、出てきた。第2作もある。

文章で読むとわかりづらい(ネイティブでも同じらしい)が、音読すると、ニヤリ、とさせられる。さすが、ジョンの天才的な言葉選びとセンス。64年当時のイギリス社会にパンチをきかせている。
イーグルスの伝記っぽい映画(長いんだよ)観てて、ぼくは彼らの曲は大好きなんだけど、でもなんか違う、と思った。何が違うんだろう、と考えて、ジョンの詩集読んでわかった。
歌詞じゃないんだ。もちろん、イーグルスの『Desperado』の歌詞は素晴らしい。フレーズのいくつかはそらで言えるくらい入ってる。でも、詩じゃない。
それは彼らの「生き方」から出てるんだろうなあ。即物的なんだ。
ジョンもそうだし、ポールもそう、そしてジョージも、詩がある。
リンゴにもある。
ビートルズが世界史にずっと残り続ける理由は、「詩がある」からだなあ。
同じく、ミック・ジャガーにも、キース・リチャーズにも詩がある。
ドラムのチャーリー・ワッツにも詩がある。
ハモネプハイスクール。
ミュージカルで子役やって舞台立ってました、とかいうプロが混ざったりしてる。ハモネプの企画の根っこは「高校生らしい詩があるかどうか」じゃなかったのか。いつから技巧を重視するようになったんだろう。
だから多少音程がおかしくても「詩」を感じる高校が残れない。残念。
カフェやレストラン、食堂、ホテル、何でもそうだけど、「詩の有無」で、見ることができるんじゃないかな。
いつもお世話になるホテルの天ぷらカウンターの職人Tさん。彼のしごとに惹かれるのは、詩があるからだなあ。
阪急電車には詩がある。
街にも、詩の有無はある。
神戸や横浜、詩がある。
葉山、詩がある。
AI時代、「詩があるかないか」で、ブランドの寿命が決まる気がする。