
《生活改善》ADHDが、最初の山を乗り越える
ADHDの人にとってのタスクの難しさは、内容そのものよりも始める瞬間に集中しやすいです。
やるべきことは分かっているのに、体が動かない。
その状態は怠けではなく、行動に移すための実行機能がうまく働きにくい時に起こっていて、最初から頑張り切ろうとせずに、最初の2分を越える仕組みを用意してみてください。
タスクを小さく分けて、まず最も簡単な一歩を始める方法がおすすめです 。
ADHDのいちばん高い壁
レポートを書く、部屋を片づける、メールを返す、勉強を始める。
ADHDは、どれも始める前にとても大きな山に見えます。終わらせなければ・・・と考えるほどに、脳は負担を感じて、無意識に避けたくなります。
ついついスマホを見たり、別の小さな用事を始めたりするのが、意志が弱いからではありません。脳が大きすぎる負荷から、逃げようとしている反応です。
山頂を見ないでください。1時間集中するではなくて、パソコンの前に座るだけからはじめてください。本を一章読むのではなく、本を開くだけにしてみましょう。始める行動を小さく定義し直すせば、脳が感じる抵抗が小さくなります。

特にやる気は待たないでOK
そして、やる気が出たら始めようと思っていると、いつまでも始められないことがあります。特に興味が薄いこと、不安なこと、失敗したくないことほど、やる気は待っていても来にくいものです。
役に立つのは、行動すればあとから気持ちがついてくる。という考え方です。
作業を始めると、少しずつですが脳がその活動に慣れて、集中しやすくなることがあり、これは一般に作業興奮と呼ばれている現象です。
ただ必ずドーパミンが出て止まらなくなる、と単純に断定できるものではありません。気分が整ってから動くのではなく、小さく動くことで気分が整いやすくなると考えてください。
行動を始める力を支える認知的な支援方法が、ADHDの活性化や着手につながる可能性があります 。

2分の儀式とは
ADHDにおすすめは、タスクごとに、これをしたら開始という2分の儀式を決めておくことで、これは成果を出すための行動ではなくて、作業モードに入るためのスイッチです。
たとえば、以下のようにセットできます。
書くとき:PCを開き、ファイルを表示して、タイトルだけ打つ
勉強のとき:机に座り、本を開き、今日読むページに付箋を貼る
片づけ:ゴミ袋を1枚出し、目の前の物を3つだけ入れてみる
メールの返答:受信箱を開き、返信したいメールにだけ印を付ける
運動のとき:ウェアに着替え、靴を履く
ここでのポイントは、ここまでできたら今日は終わってもいいと許可することであり、たとえ2分でやめても失敗ではありません。
始める回数を増やすことで、脳がこれは危険な作業ではないと、覚えさせる練習になります。

ハードルはゼロまで下げて
ADHDは、2分だけでも面倒と感じる日もありますので、その時は、さらに小さくして大丈夫です。
PCを開くことさえ難しいなら、充電器をつなぐだけでも構いません。
本を開けないなら、本を机の上に置くだけで十分です。
片づけられないなら、ゴミを一つだけ捨てます。
これは自分を甘やかすことではなく、開始のために必要な心のエネルギーをできる限り小さくする工夫であり、大きなタスクを小さな具体的行動に分解すると、ワーキングメモリの負担が減り、着手の入口を増やせます 。
特にADHDは、何から始めればよいか分からないという、曖昧さが停止につながりやすいので、最初の一手を具体化することが大切です。

迷わない環境をつくる
この最初の2分を成功させるとき、始める直前に考えることを、できるだけ減らすのも効果的です。
夜のうちに机へ本を置く、PCのデスクトップに作業ファイルのショートカットを置く、運動靴を玄関に出しておく。
次の行動が目に入る環境を作れば、行動のきっかけを脳の外に置けます。
午前9時にコーヒーを入れたら、PCを開いてタイトルを書くとする。のように、既にある習慣に開始行動をつなげるのもおすすめです。
いつ・どこで・何をするかを前もって決めておくと、その場でやる気を探す必要が減ります 。脳を説得するのではなくて、自然に一歩目へ進める道を作っておいてあげましょう。

自分はいつも褒めること
ADHDの人の多くは、どれだけ進んだか?だけで自分を評価しがちですが、着手が難しい日は、PCを開いた、本を開いた、机に座ったというだけで、すでに大切な前進です。
始められたことを小さく記録したり、チェックを付けたり、好きな飲み物を一口飲んだりして、脳に良いことがあると伝えてあげてください。
もし2分後にそのまま続けられたら、それは素晴らしいことであり、続けられなくても、次の開始は少し楽になるかもしれません。
目標は、毎回長時間の集中をすることではなくて、始めることはできるという感覚を積み重ねることなので、最初の2分を小さな儀式に変えれば、タスクは少しずつ怖い山ではなく、踏み出せる道に変わっていきます 。