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【八十䞀歩目】倩地は「仁」では動いおいない。 - 倩地䞍仁、以萬物爲芻狗 -

    倩地は䞍仁。

    今日は老子で。

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    ❝倩地䞍仁、以萬物爲芻狗。聖人䞍仁、以癟姓爲芻狗。倩地之間、其猶槖籥乎。虚而䞍屈、動而愈出。倚蚀敞窮。䞍劂守䞭。❞

    ➙ 倩地は仁によっお働くものではない。 䞇物を、祭りが終われば捚お去る「わらの犬」のように扱う。 聖人にも「仁」はない。 人々をただ「わらの犬」のように扱う。

     倩地の間は、たるで「ふいご」のようではないか。 䞭はう぀ろ虚だが、尜きるこずはなく、 動かせば動かすほど、たすたす溢れ出しおくる。

     人は倚くを語れば語るほど、行き詰たりも早くなる。 そんなこずよりも、ただ「䞭虚静な態床」を守っおいるのが䜕よりである。

    『老子道埳経』第五章

     「倩地は䞍仁、䞇物を以お芻狗すうくずなす」。老子の䞭でもずおも鮮烈なむメヌゞをもたらす蚀葉です。「芻狗すうく」ずいうのは、祭りのずきに䜿う草で䜜った人圢の事です。祭りが終われば捚おられおしたう、䜿い捚おの人圢です。

     そうするず、「倩地に「仁思いやり」はなく、あらゆる存圚は倩地にずっおの䜿い捚おの人圢である。」ずいうずらえ方をしお、自然灜害の際の自然の厳しさを連想するみたいな蚳し方もあるずは思うし、半分は同意できるんですが、それは私には「倩地䞍仁」のずいう蚀葉の䞀郚だけのように思えたす。

    『論語』における仁。

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    ❝子貢曰、劂有博斜斌民、而胜濟衆、䜕劂。可謂仁乎。子曰、䜕事斌仁。必也聖乎。堯舜其猶病諞。倫仁者己欲立而立人、己欲達而達人。胜近取譬。可謂仁之方也已。❞

    ➙ 子貢しこうが先生に尋ねた。
    「もし、広く民衆に恵みを斜し、倚くの人々を救枈するこずができたなら、いかがでしょうか。それこそ『仁』ず呌べるのではありたせんか」

     先生はこうおっしゃった。 「どうしおそれが『仁』にずどたろうか。それは必ずや「聖」、すなわち聖人の域であろう。あの䌝説の聖王、堯ぎょうや舜しゅんでさえ、そのこずになお悩み苊心されたのだから。

     「仁」の人ずいうのは、自分が立ちたいず思えばたず他人を立たせおやり、自分が目的を達したいず思えば、たず他人を達させおやるものだ。 身近な自分自身の心を匕き合いに出しお盞手を掚し量るこず。それこそが「仁」を実践するための確かな道だず蚀えるだろう」

    『論語』雍也 第六

     ここは『論語』ず察比するず分かるず思うんですが、「仁」ずいうのは、孔子が最も重芁芖する埳目であり、「思いやり」ず説明されるのが䞀般的です。

    『荘子』における仁。

     

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    ❝商倪宰蕩問仁斌莊子。莊子曰「虎狌仁也。」曰「䜕謂也。」莊子曰「父子盞芪䜕為䞍仁。」曰「請問至仁。」莊子曰「至仁無芪。」倪宰曰「蕩聞之無芪則䞍愛䞍愛則䞍孝。謂至仁䞍孝可乎。」莊子曰「䞍然。倫至仁尚矣孝固䞍足以蚀之。歀非過孝之蚀也䞍及孝之蚀也。倫南行者至斌郢北面而䞍芋冥山是䜕也。則去之遠也。故曰以敬孝易以愛孝難。以愛孝易以忘芪難忘芪易䜿芪忘我難䜿芪忘我易兌忘倩䞋難兌忘倩䞋易䜿倩䞋兌忘我難。倫執遺堯、舜而䞍為也利柀斜斌萬䞖倩䞋莫知也豈盎倪息而蚀仁孝乎哉。倫孝悌仁矩忠信貞廉歀皆自勉以圹其執者也䞍足倚也。故曰至貎國爵并焉至富國財并焉至願名譜并焉。是以道䞍枝。」❞

    ➙ 商の倪宰である蕩が、荘子に「仁」に぀いお尋ねた。 荘子は蚀った。「虎や狌の心こそが、仁そのものです。」 蕩が聞いた。「それはどういう意味ですか」 荘子は蚀った。「父子が互いに芪しみ合う。それがどうしお䞍仁でありたしょうか野生の猛獣ですら、子を慈しむ。それこそが自然な仁です。」

    蕩がさらに聞いた。「では、『最高の仁至仁』に぀いおお聞かせください。」 荘子は蚀った。「最高の仁には、特定の察象ぞの芪愛特定の察象ぞの偏った感情などありたせん。」

     倪宰は蚀った。「私の聞くずころでは、芪愛がなければ愛はなく、愛がなければ孝もありたせん。「最高の仁には孝がない」などず蚀っお、よろしいのですか」

     荘子は蚀った。「そうではない。最高の仁ずはたこずに高い次元にあるもので、孝などはもはや語るに足りないものなのだ。これは孝を軜んじおいるのではなく、孝ずいう枠を超越しおしたっおいるのだ。

     䟋えおみれば、南ぞ向かう者が楚の郜である郢にたどり着けば、北にある冥山は芋えなくなる。それはなぜか 冥山から遠く離れおしたったからだ。

     ゆえにこう蚀うのだ。 『敬』によっお孝行するのは易しいが、『愛』によっお孝行するのは難しい。 『愛』によっお孝行するのは易しいが、芪ずいう存圚を忘れお孝行するのは難しい。 芪を忘れるのは易しいが、芪が自分の存圚を意識させなくするのは難しい。 芪に自分を忘れさるこずは易しいが、倩䞋のすべおを忘れるのは難しい。 倩䞋のすべおを忘れるのは易しいが、倩䞋のすべおに自分を忘れさせるのは難しい。

     真の埳を䜓珟した者は、堯や舜のような聖王の功瞟さえも捚お去っお、顧みない。その恩恵が䞇䞖に及んでも、倩䞋の人々はそれが誰のおかげかさえ知らない。 どうしお今さら、溜息たじりに仁だの孝だのずせせこたしい道埳を口にする必芁があるだろうか。

     そもそも、孝・悌・仁・矩・忠・信・貞・廉ずいった埳目は、みな己を励たしお無理やり埳を働かせようずするもので、耒めたたえるほどのものではない。 ゆえにこう蚀うのだ。 「真の尊さ」の前では、囜の爵䜍もかすみ、 『真の豊かさ」の前では、囜の財宝も䟡倀を倱い、 「真の願い」の前では、名誉も意味をなさない。 だからこそ、道TAOは決しお倉わるこずがないのである」

    『荘子』倩運 第十四

     『老子』の蚀っおいる「倩地䞍仁」の「仁」は、この『荘子』の内容に近いのだず思いたす。䞀般的には、「仁」ずいうのは人間瀟䌚や人間の粟神の䞊での埳目ずしおの「思いやり」の意味です。しかし、荘子は、オオカミやトラの情愛こそが「仁」だずいいたす。人間の「思いやり」ずいうのは少なからず「人為はからい」がありたすが、オオカミやトラには「人為はからい」はありたせん。荘子は、誰かに教わったわけでもなく、䜕らのはからいもなく、芋返りも求めない動物の自然な情愛は、人間よりも本来的な意味で「仁」であるず蚀うのです。

     たた、人間の認識ず運動には限界がある以䞊、人間の「思いやり」の察象ずいうのは、必然的に限定的なものです。本人が意図せずずも、結果的にはえこひいきになっおしたうこずも倚いわけです。

     倩地のはたらきずいうのは、そういった人間の思いやりのような、限定的で䜕かの意図があっおなされるものではなく、本質的には無限定、無差別なものであろう、ずいうものです。もうちょっず蚀い方を倉えるず、倩地は、誰かを苊しめようずしお灜害を起こすこずもなく、だれかを助けようずしお雚を降らしたりはしない、そこには感情も蚈算もない、ずも蚀えたす。

     ずなるず、老子のいう「倩地䞍仁」ずいう蚀葉の意味は「倩地は仁おもいやりずかそういう次元で掻動しおいない」ずいうニュアンスの方が合っおいるかなずおもいたす。もう少し蚀い方を倉えるず倩地ずいうのは「非人情」の䞖界の存圚ずいうこずです。

    わらの犬。

     さらに老子は倩地は䞇物をもっお芻狗すうくず為すずしおいたす。芻狗すうくずいうのは祭りのずきに䜜られるわらで䜜った人圢です。

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     祭りの「祭」ずいう挢字は「月+又+瀺」ずいう挢字を組み合わせおできおいたす。月は肉のこずで、又は手、瀺は祭壇を意味したす。すなわち、叀代人にずっお、「祭壇」に「手」で「肉」を差し出すずいう行為が「祭」ずいうこずですね。「犠牲」ずいう挢字も牛ぞんですが、叀代では生きた動物を䟛物ずしお祭壇に捧げるこずが祭りの意矩でした。

     その埌、肉から酒や怍物系のお䟛え物に倉わっおいくのですが、このわらの犬も、昔は実際の動物をお䟛え物にしおいたけども、それが藁で䜜った人圢に倉わったのでしょう。「わらの犬」は祭りの間は䟛物ずしお倧事に扱われたすが、祭りが終わるず螏み぀けられたあずに、捚おられおしたう運呜にありたす。

     この䞖界のあらゆる存圚䞇物も氞遠ずはなりえず、いずれは捚おられるこずになりたす。去幎のわらの犬が捚おられたおかげで、他のわらの犬が今幎の祭りの䞻圹になれる。しかし、今幎のわらの犬も、祭りが終われば捚おられるこずになりたす。そしお、来幎には違うわらの犬が䞻圹になれる。これは䜕億幎も繰り返されおきた生呜の営みそのものですね。非人情ではあるものの、無差別であるがゆえに、ある意味で平等な営みずいえたす。

     こうしお読むず「倩地は䞍仁、萬物を以お芻狗ず為す。」ずいう蚀葉は、この䞖界の無垞を説いおいるず解釈する方がふさわしいように思えおきたす。

     今日はこれで限界。぀づきは八十二歩目でお䌚いしたしょう。それではდროებით (Droebit)!!

     
     
    老荘思想をこよなく愛する九州人。老子や荘子はかなりの倉わり者だけど、こんなに厳しくお優しくお賢い垫匠は他にはいないず思っおいたす。東掋思想を理解するうえでも最もシンプルでわかりやすいテキストだず思いたす。

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