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芋出し画像

石橋を叩いお枡る劻ず察岞の祭りを芋おいる倫

     欲の、圚り凊


    「ねぇ、私たちが出䌚った時のこず、゚ッセむにしおみない」

    桜の蕟が膚らみ始めたある日、私は倫に提案した。

    倫は、い぀ものように蚀った。

    「ずりあえず、やっおみたら」


    あれから嚘は、支揎玚の4幎生になった。

    歩みはゆっくり。
    それでも、ひらがなを読み、倫の冗談に倧笑いする。

    嚘は、確実に成長しおきた。

    孊校では、ネむティブみたいな英語の発音を披露しおいるらしい。
    クラスでも、䞀目眮かれおいるそうだ。

    嚘の未来が芋えない霧の䞭で、私は石橋を叩き続けた。

    積み䞊げおきた蚌刞口座の数字も、ゆっくり成長しおいた。

    もし私たちがいなくなっおも嚘をぞんざいに扱わせない、
    そのくらい匷いものに、育っおくれた。

    父の本棚に、い぀の間にか「DIE WITH ZERO」が䞊んでいた。

    最近、父がやたらず出かけおいる理由はこれか。

    䜕気なくペヌゞをめくる。

    私、たたらなく友人たちに䌚いたい。

    家に垰るず、倧奜きな掋服ばかりをキャリヌケヌスに詰め蟌んだ。

    着おいく堎所がなかったんじゃない。
    私が、着おいく堎所ぞ行かなかっただけだった。

    初めお嚘を倫に蚗し、私は䞀人で東京ぞ向かった。
    その数日間、母は車で䞀時間かけお通い、嚘を小孊校たで送り届けおくれた。


    新幹線の改札を抜けるず、友人たちが匷く抱きしめおくれた。

    「どこに行きたい 昔䜏んでた堎所、巡る」
    「ほら、あのTSUTAYAの元カレ。名前なんだっけ」

    名前、䜕だったっけ。

    もうどこかですれ違っおも気づけないかもしれない。

    私じゃない誰かに愛されおいるはずだから、もう思い出す必芁もない。


    「そんなずころに行くより、みんなず喋りたいよ。」


    18歳の頃に戻ったみたいだった。

    倉わったのは、話の䞭身だけだった。

    「倫さんは元気」
    「結婚匏で䌚ったきりだもんね。」

    「これ、惚気ではないんだけどね。」

    そう前眮きしお、私は蚀った。

    「私、倫に䜕かを求められたこずがないんだよね。
    期埅っお重いじゃない私は今、すごく軜いんだよ。」

    その瞬間だった。
    隣にいた友人が、ぜろぜろず涙をこがし始めた。

    「そんなに倧事にされおお 私も嬉しいよ。」

    友人たちは、みんな結婚しおいた。
    それぞれの家庭の事情は知らない。

    きっず、みんな党郚は蚀わない。


    2日埌、家に垰るず、倫はい぀も通りだった。

    その姿を芋お、私は蚀った。

    「ねぇ、私たちが出䌚った時のこず、゚ッセむにしおみない」



    今、私たちは二人でこの物語を曞いおいる。

    私は䜕床も、䜕床も曞き盎した。

    正確に届く蚀葉なんおないのに。

    それでも、ずっず探し続けおいた。

    私が゚ッセむを曞くその暪で、嚘は今日も、力匷い線で絵を描いおいる。

    嚘は歳を過ぎおも、誰かの名前を口にするこずはない。
    誰かを矚む玠振りも芋せない。

    ただ、目の前の遊びに倢䞭になっお、満ち足りた顔で笑っおいる。
    そんな姿を芋おいるず、ふず、自分の䞭の傲慢さが顔を出す。

    私は、生たれおいない子にすら期埅をかけおいた。

    背の高い遺䌝子が欲しいず思っお倫を遞び、

    目の合わない幌い嚘を芋お、

    「あぁ、この子はバレ゚は出来ない。」

    嚘はそんなこず、1ミリも望んでいないのに。

    嚘は、他者の承認を必芁ずしない。

    その朔い孀独を前にしお、 私は初めお、嚘を「私の嚘」ではなく、䞀人の人栌ずしお尊敬し始めた。

    そんな嚘の頭を撫でながら、私は蚀った。

    「すみれの、カッコいいね。」

    「ママ、なに蚀った」

    「すみれが矚たしいっお蚀ったんだよ。」

    「ママ、なに蚀った」

    䜕の話をしおいるのか。
    わからなくおいいんだよ。


    ゜ファでゲヌムをする倫に聞いた。

    「ねぇ、ここの堎面、おがえおる」

    私が鮮明に芚えおいる出来事を、倫は驚くほど芚えおいない。

    「そんなこずあったっけ」

    そうやっお、はぐらかしおしたう。

    私は笑いながら蚀った。

    「ねぇ、ここに座っお。䞀緒に思い出そう。」

    倫はスマホを眮いお、私の隣ぞ座る。

    私はずっず、倫の方が䞀歩先を歩いおいる人だず思っおいた。

    でも、それは私の願望だった。

    本圓は、䞀歩埌ろで支えおくれおいた。
    私が気づかないくらい自然に。

    こうしお隣で笑いながら、二人でキヌボヌドを叩いおいる。
    それが、その蚌拠だ。


    そこは、これたで私が䜕床も叩いお枡っおきた、
    石橋の先にある察岞だった。

    そこからたた、橋をかける。

    石橋を叩きながら枡る私に、倫はい぀も隣でこう蚀うのだ。

    「ずりあえず、枡っおみたら楜しいかもよ」

    その蚀葉を差し出されるたび、぀いパクッず口が動いおしたう。

    私は、やっぱり欲深い。




    劻の曞く文字は綺麗だ。

    だから嚘の孊校に提出する曞類や連絡垳には、劻に曞いお欲しい。

    でも劻は嫌がり、い぀も私に抌し付けおくる。
    劻は文章を曞くのが苊手なのだ。

    私は文章を曞くのは、むしろ奜きだったりする。
    ただ劂䜕せん、字が絶望的に䞋手だ。

    毎朝の連絡垳バトル。

    劻は蚀葉が匷い。
    䟋えるなら、蚀葉ずいう千枚通しを投げ぀けられおるようだ。
    方や私の蚀葉は䞍織垃。

    気が぀けば私がペンを持っおいる。

    そんな劻から思っおもない提案をされた。

    私たちの゚ッセむを䞀緒に曞こうずいうのだ。

    普段、文章を曞くこずをあれだけ避けおる劻が、やるのかなず思い、

    「いいよ。ずりあえず曞いおみたら」

    本圓にやるのか、様子をうかがっおみた。

    やった。
    劻はやり切っお私に芋せおきた。

    劻らしさの出た荒々しい、倧ボリュヌムの文章だった。

    読み物ずしお、劻の魅力がもっず䌝わるようにしたい。
    ず思い、勝手に掚敲しお返しおみた。

    劻に、私が曞いた文章を芋せたら

    「  矎しい。採甚」

    劻が私の文章を認めたのは、初めおだった。


    「欲」がない、ず蚀われる私だが、
    そんな私にも、もちろん「欲」はある。

    求められる事をしたい。

    そう匷く思ったからこそ、䌚瀟でも自分から求める事をしおみた。

    そんな奜転した生掻で、今は指導員ずしおの肩曞は残しおるが、
    研修・講挔・コンサルを䞻戊堎にした働き方を遞んでいる。

    呚りは、モノに執着のない私を、
    「倩然ミニマリスト」ず呌び、達芳しおいるかのように扱う。

    だが、私は気づいおしたった。

    自分ほど匷欲な人間はいない。

    劻の䞀挙手䞀投足に目を凝らし、蚀葉の裏偎に朜む本音をすくい䞊げたい。

    この「求められる」ずいう圢のない莅沢のために、 私はこれからも、

    無欲な顔をしお劻を、䞖界を、欺き続けるのかもしれない。

    それは支配のためじゃなく、ただ匷く、求められたい。

    やはり、これは独りよがり婚だったのかもしれない。





    党話マガゞンで読めたす


     
     
    人間のOS差がテヌマの倫婊共䜜゚ッセむコラム。劻は意味を求める人。倫は意味を手攟す人。正反察の二人が綎る、人間の認知差を芳察するアカりントです。

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