
【詩】おくすり #262
「辛かったら
いつでも呼ぶんだよ」
口から出てきた言葉に
びっくりしながら
きみの鳶色の瞳を覗く
「おくすり」
とげだらけの髪を撫でるあなたの指は、すでに血にまみれ、
まみれた血からは曙光がこぼれ、
そこから朝がやってくる。
どんなに夜が深く
闇がわたしをつつんでも。
あなたの言葉が
ひび割れたわたしに
三畳紀の雨のように降った
雨からはことばたちが生まれ
ことばたちがあらゆる生きものを生んだ
あなたは雨のように黙って
約4000万年のあいだ
わたしに降った。
カーニアン多雨事象
の、ようだわ
あなたは苦笑して
つらかったら、いつでも呼ぶんだよ
そう言って、わたしをだきしめた。