
嫌われたわけじゃないのに傷ついてしまう。拒絶過敏性RSDとは? vol.10 ADHD
「ここ、少し直してもらえる?」
相手は、ただそう伝えただけ。
それなのに自分の心の中では、
「私って、ダメなんだ」
「嫌われてしまったかもしれない」
そんな言葉が浮かんでくる。
頭では、人格を否定された訳ではないと分かっている。
それでも、気持ちが追いつかない。
そんな経験はありませんか?
小さな指摘が大きな痛みとなってしまう
人からの評価や反応に、とても敏感になる。
少し注意されただけで、強く落ち込んでしまう。
返事がそっけなかったかなと、自分が何かしたのか気になる。
冗談のつもりの言葉が、いつまでも心に残る。
周りから見れば、小さな出来事かもしれません。
でも、本人にとっては、簡単には切り替えられない程に辛くなることがあります。
こうした拒絶や批判に対する強い心の痛みを表す言葉の一つに、
RSD (Rejection Sensitive Dysphoria)
があります。
日本語では「拒絶過敏性」などと呼ばれています。
ADHDのある人が、自分の経験を表す際にも使われる言葉でもあります。
これは、医学的に確立された名称ではありませんが、触れていきたいと思います。
どうして、こんなに傷ついてしまうの?
ADHDのある人は、不注意や多動衝動性などから、日常の中で注意を受ける場面が度重なることがあります。
忘れ物をしてしまった。
うっかりミスをしてしまった。
思ったことを、つい口にしてしまった。
けれども、本人は困らせようとしているわけではない。
むしろ後から考えて、気をつけようと思っていることも多いはずです。
それでも、同じような指摘が続くことがある。
そんな経験を重ねるうちに、注意されること自体が怖くなったり、小さな指摘にも強く反応したりする場合があります。
「また失敗してしまった」
「やっぱり自分はダメなんだ」
「嫌われてしまうかもしれない」
目の前の言葉だけでなく、これまでのつらい経験まで重なって感じられることもあるのです。
また、ADHDのある人の中には感情が大きく動いたり、気持ちを落ち着かせるまでに時間がかかったりする人もいます。
研究でも、ADHDと感情の調整の難しさとの関連が報告されています。
ただし、RSDが起こる仕組みは、まだ十分に分かってはいません。
また、拒絶や批判に敏感になる背景は、本当に人それぞれです。
これまでの経験や、人間関係の影響も考えられます。
自分を責めていませんか?
傷つくたびに、
「気にしすぎだよね」
「もっと強くならなきゃ」
そうやって、自分に言い聞かせてしまう。
けれど、気にしないように頑張るほど、苦しくなることってありますよね。
そんな時は、すぐに自分を変えようとしないでください。
まずは、自分の心が傷ついたことを認めてみる。
そして、少し落ち着いてから考えてみます。
「相手は、本当に私を否定したのかな?」
「指摘されたことと、私自身の価値は同じだろうか?」
指摘されたことと、自分自身を切り離して考えてみてください。
すぐに答えが出なくても、気持ちが落ち着くまで時間を置いてもいいのです。
心を守るために、できること
人の言葉に強く反応してしまう時は、こんな工夫も役立ちます。
・すぐに返事をせず少し時間を置く
・起きた出来事と、自分が感じたことを分けて書く
・信頼できる人に、別の見方がないか聞いてみる
例えば、「〜を修正してほしい」と言われた時。
「私はダメなんだ」と結論づけないで、
「今回は、この部分を直してほしいと言われのだ」
と、起きたことだけに目を向けてみます。
感情はいったん横に置いておきましょう。
自分を責める考えが浮かんでも、
「別の見方もあるかもしれない」
そんな余白を、心の中につくっていくのです。
誰かの言葉に傷ついた時
歩んできた経験や、さまざまな背景が関係しています。
もし、つらさが長く続いたり、学校や仕事、人間関係に影響したりしているなら...
一人で抱え込まず、周りの方や専門家に相談する方法もあります。
「自分の感じ方を理解すること」
「自分を責める以外の方法を見つけていくこと」
心の本棚は、そんな視点を持つきっかけになれたらと思います。