妻がいなくなって、半年が過ぎていた。
壊れた時計を直す「調律師」の男のもとに、ある雨の日、
文字盤が逆回りに並んだ古い懐中時計が持ち込まれる。
その日から、街の鳥は鳴くのをやめた。
壁に映る影の端が、黒く焦げつきはじめる。
そして毎朝、誰も作っていないはずの味噌汁が、
ちょうどよい温度の湯気を立てて、食卓に置かれている。
仕立てのいいスーツを着た、百センチの男が告げる。
「脳の裏側で、黒い鳥が孵ったのですよ」

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