
「法務省は早死にする」は本当だった?佐藤豪竜氏の外来医療費論文で元職員が腑に落ちたこと
今日、X(旧Twitter)を眺めていたら、ちょっと驚くような論文を見つけました。 佐藤豪竜氏らが執筆した「霞が関の国家公務員における国会業務量と外来医療費」に関する研究です。
役所を辞めて研究者になってから、ずーーーーーーっとやりたかった研究が、ついに世に出ました!!!
— 佐藤豪竜|『働き方の科学』著者 (@koryu0610) October 23, 2026
それが「国会審議時間と国家公務員の健康」に関する研究です。
国家公務員には労働基準法が適用されません。国会会期中には、総理や大臣の答弁の準備で、深夜・早朝まで働くことがよくあります。… pic.twitter.com/XP5HIiDIfT
健康で居たいなら厚生労働省と法務省勤務は避けよう。
— ひろゆき (@hirox246) October 25, 2026
省庁ごとの外来医療費比較は興味深い。 https://t.co/lMhjj8RqBo
私は元々国家公務員として、法務省と厚生労働省で勤務していた経験があります。
だからこそ、この論文のデータを見たとき、「やっぱりそうだったのか!」と思わず膝を打ちました。
なんと、1人当たりの外来医療費が高い省庁のトップ2が、まさに「厚生労働省」と「法務省」だったのです。
「なんで法務省は早死にするんですかね?」
「転職するなら若いうちだぞ。法務省は早死にするからな」
これは私が法務省で働いていた頃、50代のベテラン上司2人と私の3人で会話していた時に言われた言葉です。
私自身は希望して国家公務員になったので、当時は特に辞めるつもりもなく、「何を言っているんだろう?」と最初はピンときていませんでした。
そこで「なんで法務省は早死にするんですかね?」と率直に聞いてみたところ、上司たちは「やっぱりプレッシャーが大きいんじゃないか」と口を揃えました。
また、「刑務所や保護観察所もかなり精神的プレッシャーが大きいし、緊急で行動しないといけないことも多くて、どうしても不規則になりがちだ」とも話していました。
法務省は人権を扱う官庁でもありますから、確かに一理あるなと当時は妙に納得したのを覚えています。
それが今回、改めて論文のデータとして示されたことで、点と点が線になったような感覚になりました。
データが語るトップ2、そして他省庁の現実
そもそも国家公務員は、労働基準法による労働時間の上限規制から「適用除外」となっています。
労働基準法の枠外にあるため、長時間の過重労働が健康に大きな害をもたらすことが、この論文でも改めて示されました。
論文によると、国会対応に追われる時間が長い省庁ほど、職員の外来医療費が高くなる傾向があります。
医療費トップの厚生労働省(月額42.7ドル)は、その費用を押し上げている最大の原因が「精神および行動の障害」でした。
厚労省といえば「残業地獄」「強制労働省」で有名な省庁ですが、労働者を過労から守るはずの組織が、皮肉なことに一番医療費を使っているという結果になっています。
そして僅差での2位は法務省(月額42.1ドル)。
こちらは精神疾患だけでなく、がんなどの「新生物」や「呼吸器系の疾患」「消化器系の疾患」など、複数の身体的な病気が積み重なって医療費を押し上げていました。
メンタルの厚労省、フィジカルの法務省、といったところでしょうか。
一方で、他の省庁はどうでしょうか。
農林水産省は3位(月額38.6ドル)と比較的高い水準にあります。
逆に最も医療費が低かったのは外務省(月額19.8ドル)で、次いで財務省(月額25.1ドル)、経済産業省(月額27.0ドル)と続きます。
特に外務省は1人当たりの国会審議時間も最も短く、業務量と医療費の比例関係がわかりやすく表れています。
本省と地方機関のデータはどうなっている?
ちなみに、この論文が対象としているのは「霞が関の本省」で働く職員です。
私自身はずっと地方の出先機関にいたため、霞が関の深夜に及ぶような国会対応を直接経験したわけではありません。
ただ、論文の「限界(Limitation)」の項目を読むと、データ上は地方機関で働く職員を完全に排除しきれていないことが、次のように正直に記載されています。
本省支部の分類は不完全である。
一部の職員は、名目上は本部に登録されていても、国会業務の少ない地方機関に出向している可能性がある。
この傾向は50歳以上の公務員に特に強いと考えられるため、主たる分析から除外した
終わりに
今回の論文を読んで、今後は「本省と出先機関の違い」や「局ごとの違い」など、さらに細かく職場ごとの実態を明らかにする論文が出てきてほしいと強く感じました。
もちろん、個人の健康状態に関するデータを取られることに対して、抵抗感を持つ人がいるのも事実でしょう。
しかし、国家公務員という立場を考えれば、こうしたデータをしっかりと提供し、それが国民の生活や今後の政策に反映されるための「生きた材料」になってほしいと個人的には願っています。
現実的にはなかなか難しい課題なのでしょうか。
出典元(参考文献)
著者: 佐藤豪竜(Koryu Sato)ら
論文タイトル: Parliamentary workload and outpatient medical costs among Japanese national civil servants: An ecological study in Kasumigaseki






