メインコンテンツへスキップ
見出し画像

🎠 遊園地は、まだ眠っていなかった

    【キタコレさんのハロウィンアート2026
    参加作品です🎃👻🌝】

    まずはBGM🎵どうぞ~

    ハロウィンの夜。

    しれネコとしろくまは、道に迷っていました。

    画像

    「こっちにゃ」

    「さっきも、こっちって言ったよ」

    「今度のこっちは、本当のこっちにゃ」

    「本当のこっちって何?」

    しれネコは答えませんでした。

    なぜなら、

    自分でも分からなかったからです。

    二人が歩いているのは、知らない森の中。

    右を見ても木。

    左を見ても木。

    前を見ても木。

    後ろも――

    「しれネコ」

    「なんにゃ」

    「後ろは見ないほうがいいよ」

    「なんでにゃ」

    「木しかないから」

    「知ってるにゃ!」

    ただの木でした。

    怖がって損をしました。

    🌲 木がおばけに見えてきた

    森は、だんだん暗くなっていました。

    さっきまで、

    ただの木だったはずなのに。

    暗くなると、

    少し様子が違います。

    画像

    曲がった枝は、

    長い腕。

    木の節は、

    ぎょろりとした目。

    大きく割れた幹は、

    ぽっかり開いた口。

    しろくまが、

    ぴたりと止まりました。

    「しれネコ」

    「なんにゃ」

    「あの木……」

    一本の古い木を指さしました。

    枝が左右に大きく広がっています。

    まるで、

    誰かが両手を伸ばして、

    二人を待っているようです。

    「おばけに見えません?」

    「…………」

    しれネコも見ました。

    そのとき、

    風が吹きました。

    ザワ……。

    枝が揺れます。

    ザワザワ……。

    しろくまが、

    しれネコの後ろへ半分隠れました。

    「動いた」

    「風にゃ」

    「でも、こっち見てます」

    「木に目はないにゃ」

    そのとき。

    雲が流れて、

    月の光が木を照らしました。

    幹に、

    二つの丸い穴。

    その下には、

    大きく裂けた樹皮。

    目。

    口。

    どう見ても、

    笑っているおばけです。

    「…………」

    「…………」

    しれネコもしろくまも、

    じっと見ました。

    風が止まりました。

    木も止まりました。

    しれネコが言いました。

    「……走るにゃ?」

    「走りましょう」

    タタタタタタタッ!

    二人は走りました。

    木々の間を抜ける。

    ところが。

    右にも――

    おばけ。

    左にも――

    おばけ。

    前にも――

    おばけ。

    「増えたにゃーーー!」

    「全部、木ですーーー!」

    「分かってるけど怖いにゃーーー!」

    画像

    タタタタタタタッ!

    しばらく走って、

    二人は息を切らして止まりました。

    「はぁ……はぁ……」

    「しれネコ……」

    「なんにゃ……」

    「さっきの木……」

    「なんにゃ」

    「追いかけてきてません」

    「木だからにゃ!」

    分かっていました。

    たぶん。

    そのとき――

    ♪ タン……

       タララ……

         タン……

    二人の笑いが止まりました。

    森のずっと奥から、

    音楽が聞こえてきました。

    🎠 森の向こう

    ♪ タン……

      タララ……

        タン……

    古いオルゴールのような音。

    風が吹くたび、

    近くなったり、

    遠くなったりします。

    しろくまが耳を澄ませました。

    「聞こえる?」

    「聞こえるにゃ」

    「なんだろ」

    「……お祭りかもしれないにゃ」

    「こんな森の中で?」

    「お祭りは場所を選ばないにゃ」

    ・・・たぶん選びます。

    でも二人は、

    音のする方へ歩いていきました。

    やがて、

    木々が途切れました。

    そして二人は、

    同時に立ち止まりました。

    画像

    遊園地がありました。

    大きな観覧車。

    メリーゴーラウンド。

    ゲームのお店。

    古い鏡。

    たくさんの電球が、

    夜の中でキラキラ光っています。

    ただし――

    人がいません。

    ひとりも。

    観覧車は回っている。

    音楽も流れている。

    なのに、

    お客さんも、

    係員もいません。

    「…………」

    「…………」

    しろくまが言いました。

    「帰ります?」

    「道を聞いてからにゃ」

    「誰に?」

    「…………」

    しれネコは遊園地を見ました。

    遊園地も、

    黙っていました。

    「とりあえず入るにゃ」

    「その判断、合ってます?」

    「ここにいたら、ずっと木にゃ」

    それには、

    しろくまも反論できませんでした。

    🎠 誰も乗っていない

    二人が歩き始めると、

    メリーゴーラウンドの音楽が大きくなりました。

    画像

    ♪ タン、タララ……

    白い馬。

    黒い馬。

    金色の馬。

    誰も乗っていない馬たちが、

    ぐるぐる。

    ぐるぐる。

    回っています。

    しろくまが見つめました。

    「乗ります?」

    「乗らないにゃ」

    「即答ですね」

    「酔うにゃ」

    その瞬間。

    ぷつん。

    音楽が止まりました。

    二人も止まりました。

    「…………」

    「…………」

    誰もいない馬たちも、

    止まっています。

    まるで、

    断られたことを考えているようでした。

    しれネコが小さな声で言いました。

    「……怒ったかにゃ」

    「遊具は怒りませんよ」

    「そうにゃ」

    二人が歩き出します。

    その背後で。

    ♪ タン……

    一音だけ鳴りました。

    二人の足が、

    少しだけ速くなりました。

    🍦 あなたが欲しいもの

    少し先に、

    古いゲーム機がありました。

    画像

    紫色のカーテン。

    金色の星。

    上には、

    こう書いてあります。

    《あなたがいちばん欲しいものを当てます》

    「やってみたい」

    しろくまが言いました。

    「お金ないにゃ」

    ピカッ。

    突然、

    ゲーム機のランプがつきました。

    「…………」

    「…………」

    しろくまが言いました。

    「無料みたいですよ」

    「そこじゃない気がするにゃ」

    今度は、

    しれネコのほうが正しかった。

    それでも、

    しろくまはゲーム機の前に立ちました。

    ガガガガ……。

    機械が勝手に動き始めます。

    赤。

    青。

    黄色。

    ランプが次々と点滅します。

    やがて画面に、

    文字が現れました。

    《あなたがいちばん欲しいものは――》

    ガガガ……。

    チン!

    画像

    《ソフトクリーム》

    しろくまの目が輝きました。

    「当たった!」

    「しろくまの場合、誰でも当てられるにゃ」

    「すごいですね」

    「すごくないにゃ」

    「ソフトクリーム、どこでもらえるんでしょう」

    「そこまで面倒見てくれないと思うにゃ」

    二人は歩いていきました。

    その後ろで、

    ゲーム機の画面が消えました。

    そして。

    新しい文字が浮かびました。

    画像

    《もうひとつ》

    二人は、

    見ていませんでした。

    🪞 鏡

    次に二人が見つけたのは、

    大きな鏡でした。

    古い金色の額縁。

    黒い蔦のような飾り。

    鏡には、

    しれネコとしろくまが映っています。

    しれネコは鏡に近づきました。

    右を向く。

    左を向く。

    少し顎を上げる。

    「何してるんです?」

    「毛並みを確認してるにゃ」

    「こんなところで?」

    「鏡があったら見るにゃ」

    しれネコは、

    額の毛をちょいちょいと整えました。

    「どうにゃ」

    「いつも通りです」

    「よしにゃ」

    二人は鏡から離れました。

    一歩。

    二歩。

    三歩。

    しろくまが、

    ふと振り返りました。

    画像

    鏡の中。

    自分は歩いています。

    でも――

    しれネコだけが、

    まだ鏡の前にいました。

    しろくまの足が止まりました。

    鏡の中のしれネコが、

    ゆっくり顔を上げます。

    こちらを見ました。

    「しろくま?」

    前から声がしました。

    しろくまが振り返る。

    本物のしれネコが、

    少し先で待っています。

    「どうしたにゃ?」

    「…………」

    しろくまは、

    もう一度鏡を見ました。

    そこには、

    誰もいませんでした。

    「なんでもないです」

    しろくまは走って、

    しれネコの隣へ行きました。

    それからは、

    少しだけ近くを歩きました。

    🌙 閉園

    どれくらい歩いたでしょう。

    「疲れたにゃ」

    「ぼくもです」

    二人はベンチに座りました。

    遠くでは観覧車。

    メリーゴーラウンド。

    たくさんの灯り。

    なのに、

    相変わらず誰もいません。

    しれネコが言いました。

    「遊園地に来たのに、何にも乗ってないにゃ」

    「迷子ですからね」

    「そうだったにゃ」

    忘れていました。

    しろくまが観覧車を見上げました。

    「でも、変ですね」

    「何がにゃ?」

    「誰もいないのに、どうして全部動いてるんでしょう」

    「…………」

    しれネコも観覧車を見ました。

    ゆっくり。

    ゆっくり。

    誰も乗っていないゴンドラが、

    夜空を回っています。

    しれネコは真剣な顔になりました。

    「…………」

    しろくまも待ちました。

    やがて、

    しれネコが言いました。

    「電気代、大丈夫かにゃ」

    「そこですか」

    そろそろ帰ろう。

    そう決めました。

    ところが。

    「……門、どっちだったにゃ?」

    「こっちです」

    歩きました。

    ありません。

    「じゃあ、こっちにゃ」

    ありません。

    さっき通ったはずの道も、

    入口も、

    森も、

    見つかりません。

    そのとき。

    カチン。

    遠くの店の明かりが消えました。

    「…………」

    カチン。

    観覧車の電飾が半分消えました。

    画像

    カチン。

    ゲーム機。

    カチン。

    鏡。

    ひとつ。

    またひとつ。

    遊園地が、

    暗くなっていきます。

    今度は、

    しれネコも何も言いませんでした。

    しろくまが、

    そっとしれネコの手を握りました。

    最後に、

    メリーゴーラウンドの明かりが消えました。

    画像

    暗っ。

    音楽もありません。

    風の音だけ。

    「しれネコ」

    「なんにゃ」

    「あれ」

    暗闇の向こう。

    遠くに、

    ひとつだけ灯りがありました。

    遊園地の向こうに建つ、

    古いホテル。

    画像

    たくさんの窓の中で、

    ひとつだけ、

    暖かな明かりが灯っています。

    二人はしばらく見つめました。

    「ホテルですね」

    「ホテルにゃ」

    「どうします?」

    「…………」

    しれネコは、

    暗くなった遊園地を振り返りました。

    それから、

    ホテルを見ました。

    「……行くにゃ」

    「大丈夫でしょうか」

    「分からないにゃ」

    少し考えて、

    付け加えました。

    「でも、疲れたにゃ」

    それは、

    とても立派な理由でした。

    二人は、

    ホテルへ向かって歩き始めました。

    一歩。

    一歩。

    小さくなっていく、

    二人の背中。

    そして――

    誰もいなくなった遊園地で。

    ♪ タン……

       タララ……

    メリーゴーラウンドが、

    もう一度だけ、

    回り始めました。

    おしまい

    💗🌈Laugh&Peace 🕊️🍀

    キタコレさんのハロウィンアート2026
    参加作品です🎃

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    しれネコハロウィンランドの扉が開きます🐾

    ハロウィン行くなら仮装しなくちゃから生まれた
    アプリだよ【キグルミにへんシーン】

    #ハロウィンアート2026


     
     
    しれです🐾 絵本やエッセイを書いたり、AIと遊んだり。 思いついたら、みんなで楽しめる遊び場まで作ってしまいます🎡🎠🎮 しれネコと仲間たちと一緒に、笑ったり、ほっとしたり、ちょっと考えたり。 日常に小さなワクワクをお届けします🐈✨

    あなたへのおすすめ