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50社受けて、内定は回転寿司1社だけだった

    内定式の季節に

    10月になると、SNSに内定式の写真が流れてきます。
    スーツ姿の学生さんたちが並んで、少し緊張した顔で写っている。
    毎年この季節になると、僕は自分の就活を思い出します。

    大学3回生の秋から4回生にかけて、僕は約50社にエントリーしました。
    当時、大阪体育大学の硬式テニス部に所属しており、9月頃までリーグ戦があって引退できなかったため、部活動の合間を縫って就職活動をしていました。
    もっと言うと、周りの友達は保健体育の教員を目指したり、警察や消防など公務員志望が大半で、あとはアスリートを目指したり、スポーツトレーナーを目指したりと、就職活動をする人の方が少ない特殊な環境でした。

    その中で、内定をもらえたのは、1社だけでした。
    回転寿司の、はま寿司です。
    今でも家族でよく利用してお世話になっています。

    他にも、銀行も、証券も、保険も、不動産も受けたのですが、全部落ちました。

    なぜ金融ばかり受けていたのか

    エントリーした50社のうち、約30社が金融でした。
    銀行、信託銀行、信用金庫、証券、保険。

    体育大学の学生が、なぜ金融ばかり受けていたのか。

    僕は3回生のときから、経営者になりたいと思っていました。
    でも大阪体育大学には、経営をしっかり学べる環境がなかなかありません。テニス部の合宿に行くときもバスの中で、一人だけユーキャンのファイナンシャルプランナー2級の資格取得の本を読んだりしてました。
    それでも手触り感がなかったので、まずは「お金に関わる仕事」に就こうと考えました。
    お金の流れが分かれば、経営に近づけるはずだと考えた結果が、金融30社でした。

    結果は、全滅でした。

    面接で「体育大学でなぜ金融を?」と聞かれるたびに、僕は上に書いたような理屈を一生懸命話しました。いま思えば、面接官には「経営がしたい人」に見えていたはずです。銀行員になりたい人ではなく。そりゃ落ちます。

    「君は経営者にならないか」

    そんな4回生の秋、合同説明会で一つのブースに足が止まりました。

    「君は経営者にならないか」

    はま寿司のキャッチコピーでした。(たぶんこんなキャッチだったと思います。違ったらすみません。)
    経営者というのは、店舗経営、という意味で説明会をされていました。
    でも当時の僕には、50社で唯一、僕のやりたいことを言い当ててくれた会社に見えました。手を挙げるように、エントリーしました。

    そして、50分の1の内定をくれたのが、この会社でした。
    部活動の引退まで待ってくれて、面接のタイミングも柔軟に調整してくれてとても有難かったです。
    内定をもらってからは、リクルーター制度があり、アルバイトで早速はま寿司の合同説明会をする側に回って、同じ就活生向けに説明をしていました。
    入社前からいろんな経験をさせてもらえて、テニスしかしてこなかった僕からすると、毎日いろんな学びがありました。

    振り返ると、金融に憧れて30社落ちた僕を拾ってくれたのは、回転寿司チェーン店。
    人生は、だいたいこういう筋書きですね。笑

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    新卒1年目の自分

    落ちた会社が、株主になった

    ここからが、この話のオチです。

    Lean on Meを創業して12年。
    資金調達を重ねる中で、株主名簿にある名前が並ぶようになりました。

    みずほ。SMBC。三菱UFJ。京都銀行。

    それぞれのグループのベンチャーキャピタルが、いまLean on Meの株主です。
    そうです。全部、僕が就活で落ちた会社やそのグループ企業です。

    新卒の僕を「うちでは働かせられない」と判断した会社が、10年後、「この会社の未来にお金を出す」と判断してくれた。
    落ちた悔しさで言うわけではなく、僕はこれを、ただただ面白いことだと思っています。

    あのとき落とした判断も、たぶん正しかったんです。
    僕は銀行員に向いていなかった。
    そして今、出資してくれた判断も、正しかったと証明するのはこれからの僕らの仕事です。

    さらに言うと、株主名簿には大阪信用金庫と京都信用金庫の名前もあります。大阪信用金庫にいたっては、僕は二次面接で落ちています。
    14年前に「うちには合わない」と見送った学生の会社に、いまは出資してくれている。

    金融に全部落ちた体育大生がつくった会社を、14年後、いちばん近くで支えてくれているのが金融機関なんです。

    縁というのは、落ちても切れないものなんだと思います。
    形を変えて、ちゃんと戻ってくる。
    もしあの時、就職活動で落とされて、その企業の悪口などを言ってスレていたらこのようなご縁に恵まれなかったと思います。
    一期一会、ご縁の一つ一つに感謝して生きていくことは大事ですね。

    落ちた数は、あなたの価値ではない

    内定式の季節に、まだ内定がない人へ。
    あるいは、ほしかった会社に落ちたばかりの人へ。

    50社落ちた僕から言えることは、一つだけです。

    落ちた数は、あなたの価値ではありません。
    僕は、就職活動で落ちまくったときに、自分という人間を否定されている気持ちになって、たくさん泣きましたし、悔しくて落ち込んだりしました。
    でも振り返るとそれは「その会社のその席に、今のあなたが合わなかった」という事実の積み重ねでしかなくて、あなたという人間への評価では、ないんです。

    僕は50社に測ってもらえなかった「経営がしたい」という思いを、結局、自分で会社をつくることで形にしました。
    回り道に見えた全部が、いまは一本の線につながっていると感じます。
    なにか参考になれば嬉しいです。

    最後に

    ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

    Lean on Meは、「"障がい"を社会に融和する」をミッションに、障がい福祉の現場で支援する人たちを支えるeラーニングなどを展開している会社です。

    50社に落ちた僕がつくった会社なので、経歴の綺麗さより、思いと相性を見ます。

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    ダウン症の弟を持ち、障がいのある人と自然と共生する環境で過ごす一方で一般社会の「障がい」との向き合い方に課題を感じ、2014年に株式会社Lean on Meを設立。「“障がい”を社会に融和する」をミッションのもと障がいのある人への理解を促進する”スペシャルラーニング”を展開する。

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