
ベテランと新人
出勤の為に乗る電車を待ちながら、私は作業者さん達との接し方を考える。
リーダー(心得。来月から正式になる。)である私は、仕事を進める上で作業者さん達に指示を出さねばならない。
数年前からいて、現場を熟知した人もいる。勿論、数ヶ月前に入ったばかりの私とは全く違う。そういった人には、お任せをして振ってくれた提案を取り入れ、相談には真摯に耳を傾けたいと私は思う。
その一方で、私より後に入って来た作業者さんもいる。
以上の両者を並べると、それぞれの良さが浮き彫りになって来るのだ。
前者は、私のまだ知らない事を教えてくれ、私が百の時間をかけて考えた挙句の行動を、僅か一の時間だけで出来て了う、非常に頼もしい存在である。
そして、後者は私が仕事を頼み易く、教えるという経験をこちらに与えてくれる、新たな仲間なのだ。
「近藤君。あの佐木って男は、ちゃんと見ていないとダメだぞ! 仕事やる気無くて、指示待ち人間だから。 ったく! 何も言われねーと、突っ立ってるだけなんだからよ!」
この様に批判をされている男性がいる。しかし、私にとっては何の問題も無い。仕事を頼むと文句を吐いたり、目を盗んで手を動かさなかったりする事は無かった。
「近藤さん。次は何をしたら良いですか?」
彼から、聞いて来てくれたのである。
佐木さんより遥かに目に余る人間を私は散々見て来たから、こう捉えるのかもしれない…。かつていた職場に、勝手に配置された部署から離れて別の所へ移って了った人がいた。それに比べたら…大した事ではない。
指示待ち人間がいるとしたら、私が様子を意識して、その都度頼み事を伝えれば良いだけだろう。 完