
【特別支援学級の日々】華やかな裏にある大変さと現場で大切にしていること✨〜読者の方から寄せられた温かい疑問〜
前回の記事をお届けした際、読者のここパパさんから大変嬉しいコメントをいただきました。

イメージしにくかった世界ですが記事にしてくれて少しイメージができました。今度は大変なところも聞いてみたいです。子ども同士喧嘩とかがよく起こるのかとか働くうえで注意してることとか教えてくれると嬉しいです。
このように、現場のリアルな部分に興味を持ってくださる温かいお言葉をいただき、本当にありがとうございました。
今回は、ここパパさんからのご質問にお答えする形で、綺麗な部分だけではない現場のリアルな大変さや、子ども同士の葛藤、そして私たちが日々どんな意識で子どもたちと向き合っているのかを深くお伝えしていきます。
🍀 現場で巻き起こる日常のトラブルと葛藤
特別支援学級の日常における大変さを語るうえで、避けて通れないのが子どもたちの喧嘩や突然起こるパニックへの対応です。
一般的な学級と同じように、特別支援学級でも子ども同士の喧嘩は日常的に起こります。
それどころか、感情のコントロールや自分の気持ちを適切な言葉で表現することがまだ得意ではない子が多いため、行き違いや衝突のきっかけは教室のあちこちに転がっています。
たとえば、朝の支度の最中にお気に入りの席や場所を譲れなかったとき、隣の子のふとした動作や急な大きな声に驚いてしまったとき、あるいは自分が夢中になって作っていたブロックの作品やこだわりを邪魔されたと感じたときなどです。
大人から見ればほんの小さな出来事に見えるかもしれません。
しかし、自分の世界やペースを大切に生きている子どもたちにとっては、自分の安心感が脅かされるほどの大きな一大事なのです。
そうした混乱のなかで、自分の内側にある悔しさや悲しさ、恐怖といった感情を言葉でうまく伝えられないもどかしさが最高潮に達したとき、子どもはどうしても行動で示そうとします。
手が出てしまったり、周りの物を投げたり、大声をあげてその場に倒れ込んで暴れてしまったりすることがあります。
このような場面に遭遇したとき、教員は瞬時に判断して動き出さなければなりません。
怪我に繋がらないよう間に入って危険な物から遠ざけ、子どもの安全を確保しながら興奮を落ち着かせていく作業は、体力的にも精神的にも大きなパワーを消費します。
しかし、ここで私たちが最も注意しているのは、ただ目の前の喧嘩を止めて子どもを叱りつけ、その場を収めることではありません。
🍀 働くうえで注意している三つのポイント
一つ目のポイント 行動の表面ではなく背景にある感情を探る
一つ目は、目に見える行動の表面だけにとらわれず、その背景にある隠れた理由や感情を探り続けることです。
たとえば、突然お友達を叩いてしまった子がいたとします。
その場面だけを見れば叩いた子が悪いということになり、一方的に責めてしまいがちです。
しかし私たちは決してそこで思考を止めません。
なぜその子は手を出すに至ったのか、その直前にどんな刺激やストレスがあったのか、言葉にできなかった不快感や焦りは何だったのかを、前後の状況から注意深く観察します。
同時に、叩かれてしまった相手の子も何に驚き、どんな恐怖や痛みを感じたのかを丁寧に整理していきます。
怒っている子に対しても、本当は嫌だったんだよね、びっくりしたんだよね、と大人が言葉にならない気持ちを優しく代弁し、まずはその子の感情に深く寄り添うことが第一歩になります。
自分の気持ちを理解してもらえたと感じた瞬間、子どもははじめて固く閉ざしていた心を開き、落ち着きを取り戻してくれるからです。
二つ目のポイント トラブルを未然に防ぐ環境調整の技術
二つ目は、パニックやトラブルが起きてから対処するのではなく、そもそもそれらが起きにくい環境をいかに作るかという環境調整の視点です。
大変な事態が発生してから慌てて収めるのではなく、事前にリスクを予測し、子どもたちが落ち着いて過ごせる空間をデザインすることこそがプロの仕事だと考えています。
たとえば、特定の音や環境音に過敏でパニックになりやすい子には、安心して集中できるようにイヤーマフや遮音ヘッドホンを用意します。
予定の急な変更に強い不安を感じる子には、一日の流れや次の行動をあらかじめ写真やイラストの付いたスケジュールカードで視覚的に伝え、見通しを持たせます。
また、自分のパーソナルスペースを侵されると攻撃的になりやすい子のために、机同士の距離を十分に空けたり、パーティションで視線を遮れる静かな休憩コーナーを教室の一角に設けたりもします。
このような一人ひとりに合わせた事前のアプローチを徹底することで、無用な衝突やパニックは大幅に減っていきます。
三つ目のポイント どんなときも自分の感情をフラットに保つ
三つ目は、どんな状況に陥っても自分自身の感情をフラットで穏やかに保ち続けることです。
教室内に激しい叫び声が響き渡り、物が飛び交うようなパニックの渦中に身を置くと、対応する教員の側にも当然ながら焦りや恐怖、強い疲労感が生まれます。
しかし、教員が感情的になって声を荒らげたり余裕を失ったりすると、子どもはそのピリピリとした不安や怒りの空気を敏感に察知し、さらに興奮してパニックを悪化させてしまいます。
どんなに教室全体が混乱している瞬間であっても、教員はあえて深呼吸をし、静かで落ち着いたトーンと穏やかな表情を崩さない。
大人が揺るぎない安全基地としてそこに存在し続けること。
これこそが現場で最も大切であり、同時に最も訓練と精神力を要する注意点だと感じています。
🍀 大変さの先にある小さな成長と最高の喜び
このように書くと、現場は常に緊張感に包まれていて大変そうだと感じられるかもしれません。
実際に大変な瞬間は毎日のように訪れます。
汗だくになって子どもと向き合い、一日の終令が終わったあとの職員室では、全身の力が抜けてぐったりと脱力してしまうことも珍しくありません。
けれど、そうした日々の泥臭い葛藤や衝突を何度も繰り返しながら、子どもたちは確実に、少しずつ成長していきます。
以前は気持ちが溢れるとすぐに手が出てしまっていた子が、次に悔しい思いをしたときに、ぐっと拳を握りしめて耐え、自分の気持ちを示すカードを静かに差し出して教えてくれたとき。
パニックが収まったあと、自分から小さく、ごめんね、とボソッと言葉を口にできた瞬間を見られたとき。
その姿を目にしたときの感動と愛おしさは、言葉では言い表せないほど大きく、教員として何物にも代えがたい最高の喜びとなります。
現場にある大変さの裏側には、それ以上に深くて温かい、子どもたちの心の成長と豊かな人間らしさがぎゅっと詰まっています。
子どもたちが見せる一歩一歩の歩みはとてもゆっくりですが、その足跡は力強く尊いものです。
これからも私たちは、一つひとつの壁や葛藤を子どもたちと一緒に乗り越えながら、一人ひとりの可能性を信じて歩んでいきたいと思っています。
ここパパさんをはじめ、読者の皆様がこうして温かい視線を寄せ、関心を持ってくださることが、現場で奮闘する私たちや子どもたちにとって大きな大きな励みになっています。
これからもあたたかく見守っていただけたら幸いです。
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