
孤月
月を見る。私にとって月は、孤独で冷たくて寒々しい存在。ひとりぼっちの淋しい月。月が雲でほとんど隠れてしまった。いいな。私は隠れることなんて出来ないから。元彼から逃げている。引越しばかりでお金がなくなった。なぜか私の家を突き止めるのだ。職場にも現れたから仕事を辞めた
。クリーニング店で働いていたの。そして、ついに住む家がなくなった。ホームレス。売れるものは全て売り、小さめのボストンバッグひとつで暮らす。
元彼の執着は何なんだろう。おそろしくて仕方がない。見つからないように外見も変えた。生まれて初めての黒髪のショートで服は上下古着。これなら私だってわからないはず。
誰かターゲットが出来たら私のことなんか忘れると思うんだけれど。こんな言い方はひどいと思うが、誰か私の代わりになってほしい。そうじゃないと私は逃げ続けなくちゃ行けないの。
友達は二人いるんだけれど、ひとりは結婚していて赤ちゃんが産まれたばかりで大変そうだし、もうひとりの独身の友達は携帯の番号を変えていた。友達もギリギリで生きている気がする。
日払いのアルバイトをしている。履歴書なしで働けることは助かる。人気のアルバイトは争奪戦。
今日は早朝バイトで疲れた。今、私の家になっているネカフェの狭い個室で目を閉じる。月の残像が見えた。