
ースターバックス再生物語ーつながりを育む経営(2011年発行)
スターバックスといえば、ブランディング戦略の成功事例という認識が強い。従来のコーヒー店になかった「おしゃれ」・「高級感」・「コーヒーがおいしい」といったポジショニングで、淹れたてコーヒーの香り漂う居心地の良い店内は「サードプレイス」を目指すことでも有名だ。
そんなスターバックスが2000年〜2007年、成長と拡大の最中、ほんの少しの糸の綻びから大きな罠へと陥ることになる。成長と拡大と発展の実現の中で一体何が起こったのか。
危機的状況の中、問題の責任を取るため、2008年1月、この本の著者であるハワード・シュルツ氏がCEOへ復帰する。
本書は、この危機的状況から再び、最高業績を達成するまでの復活の物語であるが、ここでの内容は、小手先の「戦略」や「戦術」に関する内容ではなく、経営において最も大事な「本質」が描かれていたのである。
物語の概要
当時、海外戦略や拡大戦略により、スターバックスは成長を加速させ、株価も売り上げや利益の増大とともに上昇にあった。
しかし、2007年、スターバックスは道を見失う。成長に固執するあまり、サービスや質が低下。売上至上主義への変貌、中核事業(コーヒー)から離れた商品を売るなどいつしか経営が路頭に迷う。
運の悪いことに、景気の後退時期とも重なり、住宅バブルの破綻や失業率の上昇など、金融危機や世界的な不況が同時に襲いかかる。
CEOへ復帰したハワード・シュルツ氏は、失われつつある「スターバックス体験」(エクスペリエンス)を取り戻すため「7つの大きな取り組み」を行う。
その結果、2010年の秋、わずか3年でスターバックスは過去40年間で最高の業績を再び達成するのであった。
スターバックス体験とは
ここで言う、スターバックス体験とは
・人と人とのつながり
・バリスタの熟練した技
・淹れたてコーヒーの温かい香りや心を浮き立たせるような風味
・おしゃれで居心地の良い空間 など。
スタバにいること自体が素晴らしい体験であり、ハワード・シュルツ氏にとってこれこそが「魂」だと表現しています。
つまり、お客様には「コーヒー」を売るのではなく、「スターバックスに来て頂く体験」を売る。そのためにできることは何かを考え、常に「魂」の込もったサービスを提供するのだと。
しかし、いつしか新規店舗の拡大、バリスタやパートナー(従業員のこと)の増加など、それらの成長にともなって、この「魂」ともいうべき体験が薄れていく。
業務の効率化や迅速化が裏目となり、ビジネスとして正しいことをしているようで、実は「スターバックス体験」そのものの価値を低下させる行為だったことにようやく気づく。(スターバックス体験のコモディティ化)
具体的には、迅速性、効率性により、店内のコーヒーの香りが失われたり、店舗デザインが簡素化されたり、スターバックスの店舗の伝統と遺産が失われてしまった。
考える力を養う(まとめ)
スターバックスには「接客に関するマニュアル」がないらしい。自ら考えて行動することで、お客様の素晴らしい笑顔を引き出している。
スターバックスの店員に限らず、ビジネスにおいて「相手(お客様)のことを考えて行動する」ことは、小手先のどんなテクニックを使うよりも、最も「本質的」なことだと言える。
時代とともに、細かな「手法(マーケティング方法やSEO対策、SNSの種類など)」は変わるけど、ビジネスの「本質」は今も昔も変わりません。
「熱量」が不足すると「質」は低下する。いかに「質」を維持してブレずに「本質」を貫き通していくか。そんなことを思い知らされる一冊です。
自分が好きで、それでいて得意なことと、相手のニースが重なるところを探し、そこに「魂」を込めてビジネスを楽しみましょう。
最後まで、お読みいただきありがとうございます!