
おひとり様が好き~私に戻れる時間~
自然におひとり様になっているときは寂しいが、
自分でおひとり様を選んでいるときはホッとする。
私だって自室にこもってスマホ見て、iPad見て、読書してたい。
冷めたパンでいいいから誰かが焼いてくれたやつ食べたいよ。
餃子だって一人で包むんじゃなくてみんなで包みたいわ。
そんなことを考えながら、種をスプーンにすくいとる。
白い円が左手にずっと乗っている・・・餃子1回150個。
我が家の一食分はだいたいこの数がいる。
餃子一日百万個、鶏肉三千キロ・・・王将のCMか。
それよりはマシやなと思いながらちゃっちゃと包んでいく。
30分ぐらいで150個が完成した。
みんなで食べる夕食は美味しい。
その日のことを、子どもたちが楽しそうに話していると、社会って優しくってくだらないんだなと思う。
でも、私はおひとり様も好き。
外の世界のおひとり様は私を私に戻してくれる。
18歳で神戸に住み移り、独りで神戸駅前のおでん屋台に行くのが好きだった。おっちゃんが顔を覚えると一つ大根を増やしてくれた。
「今日、警察ウロウロしてるやろ。美人の取り締まりしてるで。」
そんな会話が刺激的だった。
ある日は、焼き肉が食べたくて、独りで店に入る。
「何名様ですか?」
「ひとりです。」
当時はえっ?って顔をはされたが、今は一人で食べられるカウンターまでできているから驚きだ。
40代になって、おひとり様は継続。イタリアンにだって行く。
今読んでるあなたが一緒に行ってくれても、きっと楽しい。
「記事はどうやって書いてる?」
「誰の書き方が好き?」
「好きなクリエーターは誰?」
でも、私にはそれができないから、今日はおひとり様で妄想する。
スマホの通知を見て、この薄い箱におひとり様の邪魔をされているような気がしつつ、「電話っていつからコードが無くなったんやったっけ」と思い出にふけっていた。
16歳で親元を離れた。
最初の一週間はホームシックで、近くの公衆電話から何度も自宅へ電話した。当時はポケベル全盛期だったが、見かねた父が携帯電話を用意してくれた。今のスマホから比べたら、厚みもあるしとにかく重い電話だったが、私の淋しさを埋めてくれる大切な箱だった。
しばらくすると、「ピッチ」とか言われて誰もがPHS電話を持つようになった。軽くて可愛い箱に見えた。私は相変わらず重い箱とポケベルとを併用していないと友人たちと連絡が取りづらかった。
「マーキーにかけると通話料かかるからなぁ。」
友人にそう言われたが、父に今さらPHSが欲しいとは言えなかった。
友人の中で携帯電話を使っていたのは私だけ。
まちがいなく、おひとり様だった。
その頃から私は電話番号を1回も変えたことが無い。
30年間ドコモ一筋である。
乗り換え割りやら新規無料やらいろいろな広告を見ても、電話番号が変わりたくないという理由でずっと使いつづけてきた。それは、あまりにも覚えやすい電話番号からスタートした。
しかし、あるとき「090」という邪魔者がやってきた。
これまであんなにリズムよく見えていた番号が、一気に不協和音を奏でだした。今まで、電話番号を伝えたら、
「えっ?めっちゃ覚えやすい。」
と言ってもらっていたその電話番号は、「090」があるだけで、なんだか愛着までなくなったような気がした。
不思議なもので今はもうこの番号にすっかり慣れてしまった。
覚えやすいのは覚えやすいし。
「P201」を使い出してから、「私はパナソニックと生きていく!」みたいに思ってたくせに、いつのまにかApple信者やから私も文句を言えた立場ではない。30年という月日が私の推しを松下幸之助からスティーブ・ジョブズに変えたらしい。
変わっていくことが嬉しいこともあれば、
変わっていくことが淋しい時もある。