
僕たちのかぐや姫/ [月を見る]シロクマ文芸部
月を見る。背中を預けた小屋の中に月の明かりを入れてはいけない。
この小屋の中、月の明かりの届かない所に彼女はいた。月が出ている夜は誰かが小屋の見張りにつく。今日は僕がその当番だった。
幼い頃から彼女を知っている。ずっと年をとらない彼女。僕が18になる頃には僕の方がお兄さんになっていた。
村人が言うには彼女は月から来た女の子なのだそうだ。彼女がいる限り村は安泰だと言っている。彼女に一度聞いたことがある。
「月に帰りたくはないの」
「長くここにいすぎて月のことなど忘れてしまったわ」
明るく言う彼女。
月の明かりを彼女に見せれば月が恋しくなる。月の明かりが彼女を照らせば彼女のことが月に知られてしまう。それを避けるための小屋。
昼間は普通にみんなと暮しているが、別に寂しそうにもしていない。
小屋の中から彼女の悲鳴、僕はとびこみ、月明かりが差し込む壁の裂け目を塞いだ。
月の光を避け部屋の隅で肩を抱いて震えている姿。
彼女は月でのことを覚えているのかもしれない。
こちらの企画に
参加させていただきました。
小牧幸助さん
ありがとうございます。
見出しイラストはぽてさんに描いていただきました
いいね、フォロー頂けると
筆が活性化します。
#シロクマ文芸部
#月を見る
#小説