メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【毎週ショートショートnote】未確認飛行パンプキン

    男は、株式会社パンプキンの前に立ち尽くしていた。シャッターには「都合により、しばらくお休みします」と張り紙がある。社長の自宅を訪ねても応答はなく、電話もつながらない。

    男は社長に三百万円を貸していた。

    「飛んだのか……?」

    そう落胆していると、一人の女性が現れた。

    「社長にお金を返しに来たんですけど」

    その後も、債権者や債務者が次々と店の前に現れた。

    男は困惑した。債務者までいるのなら、夜逃げしたとは考えにくい。自分への返済期限も、まだ数日先だった。

    隣の店主に尋ねると、「飛行機で旅行に行く」と聞いたという。その隣は「遠方の法事でしばらく休む」と聞いていた。さらにその隣は、「娘の海外挙式に出席する」とのことだった。

    男は悩んだ。社長を捜すべきか、帰りを待つべきか。そもそも、どこへ行ったのかさえ分からない。

    ──未確認。

    飛行機に乗ったという社長の行き先も、株式会社パンプキンの未来も、謎に包まれたまま。ただ、時だけが過ぎていった。

    410字

     
     
    世界で起きている『変化』を、素人目線で考える実験室。AIの進化、時事、経済など、気になるテーマを考察記事やエッセイ形式で深く掘り下げます。専門外だからこそ見える景色と、率直な疑問を大切に。未来を知るための、思考のログを綴っています。

    あなたへのおすすめ